市報うんなん2016年6月号
祝 木次線開業百周年
簸上鉄道開通当時の木次駅周辺(大正5年10月)
C56108号 走行風景
木次線の宍道~木次駅間が簸上(ひかみ)鉄道として開業してから、今年で百周年を迎えました。
雲南地域の重要な公共交通機関として、多くの人々や数々の物資を運んできた木次線。一世紀に渡る歴史の中で、社会情勢の変化に合わせ、木次線もその役割を変えてきました。一方で、列車の運行は脈々と受け継がれ、私たちの暮らしにとってなくてはならないものになっています。今月号では、これまでの木次線の歴史を振り返ります。
木次線の生い立ち
大正4年10月、宍道~木次間21キロメートルの線路建設が着手され、1年の歳月をかけ簸上線の線路敷設が完了しました。開通式は、大正5年10月11日に行われました。
昭和2年12月には、山陰と山陽を鉄道で結ぶための鉄道工事が始まりました。このうち下久野トンネル(全長2241メートル)は、3年4ヵ月の歳月をかけ昭和6年4月に完成しました。
この大工事の後、昭和7年に木次~出雲三成間が、昭和9年に出雲三成~八川間がそれぞれ開通しました。
そして、昭12年12月12日、八川~備後落合間が開通すると、宍道~備後落合間81.9キロメートルが鉄道で結ばれ、陰陽を繋ぐ路線のひとつとなりました。
木次線の現状
開業当時、木次線は簸上鉄道株式会社により運営されていました。その後、運営会社が昭和9年に国有化され、日本国有鉄道へ継承され、現在の西日本旅客鉄道株式会社に至っています。
簸上鉄道当時、木炭をはじめ主に砂鉄、米、牛などが木次線によって運ばれ、客車3両に対して、貨車は33両もありました。
昭和31年には、10万7千トンの貨物を運び貨物量のピークを迎えました。しかし、自動車の大衆化の到来とともに貨物量も減少の一途をたどり、昭和57年には、貨物列車は全面廃止となりました。
また、JR木次線の年間利用客は昭和62年には約66万人、平成7年には約60万人に減少、平成22年には概ね半減しており、大変厳しい状況となっています。
現在、ワンマン運転の気動車は通学利用や高齢者の生活利用など沿線における貴重な公共交通であり、平成10年4月からは、観光トロッコ列車「奥出雲おろち号」が運行し、新たな観光資源として人気を集めています。
これからの木次線
長い歴史をもつふるさとのローカル路線として、木次線が私たちの生活や地域の産業に与えた影響は大きいものがあります。
3月22日には、JR西日本米子支社木次鉄道部をはじめ島根県、沿線の商工会、観光協会、自治体で構成する木次線開業百周年記念事業実行委員会(会長 勝田康則(かったやすのり)奥出雲町長)を設立しました。
同実行委員会では、百年を記念したさまざまな事業を通じて、沿線における木次線に対する意識や機運の醸成を図っていくとともに、利用促進と地域活性化に繋がる取り組みを進めていきます。
今後も沿線住民、事業者、自治体の三者が共通認識のもと、それぞれの役割において支えていくことが重要です。
C56107号 木次機関区(昭和46年9月)
C56107号 運転席
木次線100周年の沿革
大正5年10月 | 簸上鉄道株式会社として、宍道~木次間開業(21.1㎞) |
昭和2年12月 | 下久野トンネル工事着工(難工事) |
昭和7年12月 | 国鉄線、木次~出雲三成間開業 |
昭和9年8月 | 簸上線宍道~木次間、国鉄線となる |
昭和9年11月 | 出雲三成~八川間開業 |
昭和12年12月 | 八川~備後落合間開業(木次線81.9km全線開通) |
昭和28年10月 | 快速ちどり号運転開始 |
昭和33年12月 | レールバス運転開始 |
昭和34年4月 | 準急行ちどり号、SLから気動車に変わる |
昭和34年11月 | 木次線管理所設置 |
昭和38年2月 | 豪雪(全線で85ヵ所の雪崩) |
昭和39年7月 | 山陰豪雨(木次駅構内、土砂で埋まる) |
昭和42年10月 | 木次線無煙化促進(一般気動車12両配置) |
昭和44年4月 | 旅客列車全線無煙化、気動車17両配置 |
昭和45年8月 | 木次線管理所廃止木次機関区設置 |
昭和46年10月 | SL基地廃止、貨物列車もディーゼルとなる |
昭和49年11月 | SL(C56 136号)木次児童公園に移設展示 |
昭和57年11月 | 木次線の貨物列車廃止 |
昭和58年3月 | 541D(キハ53-7号)出雲坂根~三井野原間脱線転覆 |
昭和62年4月 | JR西日本旅客鉄道会社となる |
平成2年6月 | 木次鉄道部発足、ワンマン運転開始 |
平成4年4月 | 新型気動車キハ120系、2両配置120-207,208 |
平成5年4月 | 新型気動車キハ120系、6両配置120-1~6 |
平成6年12月 | キハ120系気動車8両、木次鉄道部所属となる交番検査基地となる |
平成7年8月 | 木次線継電化はじまる木次駅終了 |
平成8年11月 | 木次線開業80周年記念祭 |
平成9年12月 | 木次線全線開通60周年記念祭 |
平成10年3月 | 木次線全駅継電化となる |
平成10年4月 | トロッコ列車「奥出雲おろち号」運転開始 |
平成13年10月 | 木次線列車集中制御(CTC制御)化 |
平成16年7月 | トロッコ列車「奥出雲おろち号」乗車10万人達成 |
平成17年6月 | 車両(キハ120系)にトイレ取付工事開始 |
平成17年11月 | 木次駅3番線廃止 |
平成17年12月 | 豪雪のため、横田~落合間運休(12月22日~3月29日) |
平成18年11月 | 木次線開業90周年祭 |
平成19年12月 | 木次線全線開通70周年記念祭 |
これからのJR木次線を考える会(3月22日開催)
木次線フォトコンテスト作品募集
木次線の歴史を伝える写真、沿線の風景、懐かしいあの頃のひとコマなど、木次線や沿線の魅力を伝える写真を募集します。郵送または持参により応募してください。
【応募締切】
8月31日(水曜)必着(郵送の場合は当日消印有効)
【応募先】
実行委員会事務局(雲南市地域振興課または奥出雲町企画財政課)
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木次線開業100周年HP
http://kisuki-line.com/
100周年を皆さんと一緒に盛り上げていきましょう!詳しくは、下記へ問い合わせください。
木次線開業100周年記念事業実行委員会
雲南市政策企画部地域振興課 電話0854-40-1-13、FAX0854-40-1019
奥出雲町企画財政課 電話0854-54-2522、FAX0854-54-1229