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市報うんなん2015年1月号

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雲南病院だより

新年のあいさつ


病院事業管理者 松井 譲

新年あけましておめでとうございます。
皆様方には、ご家族お揃いで新年をお迎えになられた事と、お慶び申し上げます。
さて、本年はいよいよ念願であります新棟建設の着工を迎える年となりました。ここまでこれましたのも、住民の皆様、議会、行政のお力添えがあってのことと、深く感謝申し上げます。老朽化した上に6人室のある病棟となっており、時代に適応した療養環境を患者様に提供したい立場にあるものとして、一日でも早い完成をめざしてまりますので、一層のご支援とご理解を賜りますようお願い申し上げます。
次に「健全な経営」という命題においては、25年度決算において2年連続の黒字決算が図れ、内部留保資金も着実に上積みを図ることができました。これも関係者の皆様のご支援と、支えてくれている職員のおかげと感謝しています。今後も健全な経営が図れるよう努めて参ります。
地域医療は依然として厳しい状況であり、26年度におきまして、内科については常勤医の2名増員が図れたものの、常勤医師数は退職医師の補充をするのがやっとの状況であります。まだまだ医師の充足を図れる状況ではありませんが、市民の皆様の健康を守るため、職員一同更なる努力をして参りますので、一層のご支援をお願い申し上げまして、新年のごあいさつといたします。


院長 大谷 順

新年明けましておめでとうございます。市民の皆様方におかれましては、平成27年の新春を晴々しい気持ちでお迎えのこととお慶び申し上げます。また旧年中は、病院事業に対するご理解とご協力を賜りましたことに厚く御礼を申し上げます。
さて、本年は大きな節目の年と言われています。今年、65歳以上の高齢者は約3,400万人、4人に1人が高齢者という時代になります。第一次ベビーブームで誕生され、日本の高度成長経済を支え引っ張ってこられた人たち、「団塊の世代」がすべて退職されて、前期高齢者(65歳~74歳)の仲間入りをされることが大きな要因です。
今年を端緒(たんしょ)にして、今後10年先に向かいわが国はかつて経験したことのない超高齢化社会に突入していきますが、その対策として昨年、国は大きな方針を打ち出しました。「地域包括ケアシステム」と言って、地域で暮らす高齢者が安心して医療、福祉や介護を受けながら、できるだけ住み慣れた場所で生活できるように社会全体で支えていく仕組みの事です。
病院としても、国が推進する仕組みに役立てるよう、機能を変化させております。とくに入院に関係するところでは、昨年「地域包括ケア病棟」の新設を行いました。これは、従来の亜急性期病棟の機能に、在宅復帰に向けての機能をより強化した病棟で、加齢にともない体の機能が低下して、病気や怪我などからの回復が思わしくなく、なかなか住み慣れた場所に帰ることのできない高齢患者様にとって有用な病棟です。
地域包括ケア病棟の運用に伴い、回復過程に応じて病室を変わっていただく事が時に生じますが、本病棟の特質をご理解のうえ、ご協力をよろしくお願いいたします。
4月からはいよいよ2年後に竣工予定の新病棟建設も始まります。工事に伴い病院ご利用の皆様方にはしばらくご不便とご迷惑をお掛けいたしますが、地域によりよい医療サービスを提供するための準備期間ということで、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
最後に、本年が皆様にとりましてよい年となりますことを心よりお祈り申し上げるとともに、本年も職員一同、地域医療の維持・発展に努めて参る所存でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

【検査科から】高感度インフルエンザ迅速診断検査について

現在、医療機関で行われているインフルエンザウイルスの検査は、通常「迅速診断キット」(以下迅速キットという。)という簡易検査で行われています。
しかし、この「迅速キット」はインフルエンザウイルスの検出感度が十分でないことから、感染初期でウイルスの量が少ない場合「陰性」の結果が出ることがあります。
当院では昨シーズンから「高感度インフルエンザ迅速診断検査:高感度の試薬・専用の最新機器」(以下高感度検査という。)でインフルエンザの検査を行っていますので、精度よく正確な判定ができます。
通常の「迅速キット」では、発症から約12時間以上経過してから検査で陽性になると言われています。個人差はありますが「高感度検査」では発症後6時間以降であれば判定が可能とされています。

発症後のインフルエンザウイルス量の変化(一例)

高感度インフルエンザ迅速診断検査の専用機器・診断キット
▲高感度インフルエンザ迅速診断検査の専用機器・診断キット

【検査科から】血圧脈波検査について

血圧脈波検査は、動脈硬化の程度を見る検査です。両手両足の血圧を測るのですが、同時に心電図と心臓の音も記録します。これらの情報から“動脈の詰まりの程度”や“血管の硬さ(血管年齢)”がわかります。

動脈硬化とは?

動脈硬化とは動脈の壁が厚くなったり、硬くなったりして血管本来の構造が壊れて働きが悪くなる病変」の総称で病名ではありません。壁の厚くなったところが、おかゆやヨーグルトのような状態になっていると粥腫(じゅくしゅ)といって、これがはがれて血液中をただよい、細い血管を詰まらせることもあります。動脈硬化が原因となって心筋梗塞(しんきんこうそく)・狭心症(きょうしんしょう)・脳梗塞(のうこうそく)・閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)・大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)・腎梗塞(じんこうそく)や手足の壊死(えし)などが起こります。
動脈硬化は生まれてから一生付き合わなければならない血管の変化で、年齢とともに進行していきます。中高年になってから起こるものと思われがちですが、動脈硬化を進めてしまう「危険因子」に気を付けて進行を食いとめることも大切です。危険因子には「肥満」・「糖尿病」・「高血圧」・「高脂血症」・「喫煙」・「睡眠時無呼吸症候群」などがあります。30才頃になれば加齢による動脈硬化性の変化も完成されてきますので、しなやかで柔らかい若々しい血管を保つためにも、食事と運動などに気を付けて、これら血管を傷つける原因となる「危険因子」を増やさないようにしたいものです。

血圧脈波の検査の様子

血圧脈波の検査の様子

動脈硬化は自覚症状なく進行していきます。肥満・糖尿病・高血圧・高脂血症などで治療中の方、検査結果は気になるがまだ自分は大丈夫だと思っている方や何も心配してないという方も血圧脈波検査で動脈硬化の程度を見てみましょう。

【薬剤師から】「認知症」について

「認知症」と聞いて思い付くことは何でしょう。やはり「アルツハイマー病」でしょうか?確かに「認知症」におけるアルツハイマー型認知症の割合は約半分と言われていますが、他にも様々なタイプの認知症があります。そこで今回は「認知症」について解説します。

認知症の種類

◆脳血管性認知症
脳梗塞(のうこうそく)や脳出血などの脳血管障害を起こした後、その後遺症として発症する認知症です。小さな発作を頻繁に繰り返し、本人には自覚も無く家族も気が付かないうちに徐々に進行していく場合があります。
(症状)
片麻痺、感情失禁(感情をコントロールできない)、意欲や自発性の低下、嚥下(えんげ)障害(物を飲み込めない)など

◆前頭側頭葉変性症(ぜんとうそくとうようへんせいしょう)
頭の前頭葉(ぜんとうよう)や側頭葉(そくとうよう)の萎縮(いしゅく)が見られる認知症です。脳の萎縮が見られる点はアルツハイマー型認知症と同じですが萎縮する部位が違います。
(症状)
身だしなみに無頓着になり不潔でも平気、同じ言葉や行動を繰り返す、暴力を振るう、万引きなどの反社会的行為を行うなど

◆レビー小体(しょうたい)病(小阪(こさか)病)
アルツハイマー型認知症に次いで多い認知症です。脳内の神経細胞内に「レビー小体」という特殊な蛋白質が多く出現するのでレビー小体病と呼ばれます。
(症状)
幻視(見えるはずのないものが見える)・幻聴(聞こえはずのないものが聞こえる)、人や事柄に無反応、睡眠障害、自律神経障害など

◆アルツハイマー型認知症
脳にアミロイドベータという特殊なタンパク質が蓄積し脳が萎縮することによって起こる認知症で比較的進行は穏やかです。紙に図形が書けない、時計の図に針を記入できないなどで診断できます。
(症状)
頑固になる、怒りっぽくなる、年月日が分からない、家族のことが分からなくなる、買い物の支払いができない

認知症の薬

◆薬の種類
認知症の薬の種類は大別して二種類と多くありません。ただ使われている薬の剤型は認知症の患者さんが服用しやすいように少量の水でさっと溶けるような薬やゼリー、ドライシロップや貼付剤などがあります。また意欲低下などの症状にはうつ病の薬が、睡眠障害には睡眠導入剤が対処療法的に用いられているのが現状です。

◆薬の効果
認知症の薬は認知症を治す薬ではありません。その効果は「認知症症状の進行抑制」であることを知っておきましょう。

高齢者の薬の管理

認知症の患者さんは薬の管理が出来ないため、周囲の助けが必要です。しかし認知症と診断される以前は自分で管理をしておられた方がほとんどだと思います。本人に任せっきりにせず、時々周囲の方々が薬の服用を確認してください。

第10回雲南の地域医療を考えるシンポジウム開催!

11月16日に木次経済文化会館チェリヴァホールで第10回雲南の地域医療を考えるシンポジウムが開催されました。
今回は第10回記念として、テレビなどで活躍中のジャーナリスト・池上彰(いけがみあきら)さんの「学び続けること」と題した記念講演が行われました。日々学び続けることの大切さと、人に分かりやすく伝えることを考え情報収集していくことが大事であることを話され、会場をうめた満員の皆さんは真剣に聞き入っていました。
その後、島根県健康福祉部・原部長、島根大学・小林学長、雲南市・速水市長と当院・松井病院事業管理者による「少子・高齢化社会における医療と教育のあり方」についての記念対談が行われました。少子高齢化、医師不足の中で地域医療と教育をどのように形作るべきか、白熱した議論が交わされました。今後は島根県、島根大学、雲南市、各医療機関がそれぞれの立場から意見を出し合いながら、協調して、「地域医療を継続して守っていく仕組み」を作って行く必要があります。
「第10回雲南の地域医療を考えるシンポジウム開催報告集」については、雲南市立病院ホームページ(http://unnan-hp.jp/)をご覧ください。

シンポジウムの様子
▲シンポジウムの様子
講演する池上彰さん
▲講演する池上彰さん
記念対談の様子
▲記念対談の様子
 

院内サロン ふれ愛

【1月・2月の開催日】
 1月16日(金曜)・30日(金曜)
 2月13日(金曜)・27日(金曜)
【時間】
 午後1時30分から3時30分
【場所】
 雲南市立病院 南棟2階 ドック検診室

お気軽にお越しください。

病気についての不安を抱える患者さま・ご家族の交流の場であり情報交換・学習の場です。参加費等は必要ありません。
どなたでも自由に参加できるサロンです。

問い合わせは・・・雲南市立病院 保健推進課 電話0854-43-3602

展示コーナーのご紹介

木次日本画教室


講武好悦(こうぶこうえつ)さん

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