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さくら色々 Vol.1

市報うんなん2012年7月号

 
さくら色々 Vol.1
このコーナーでは、さくらに関する知識や「さくら守」として年間を通して手入れをする中で、経験したことをこれからシリーズで紹介していただきます。 
 
   
さくら守 遠田博 さん
さくらの種類

 日本人は昔から花の中でもさくらを最も好む民族である。さくらが咲いた時の美しさ、散る時の潔さが日本人の心情に合っていたのだろう。
 さくらは、「古事記」や「日本書紀」にも書かれ、奈良時代に書かれた日本最古の歌集「万葉集」にも出てくるが、実はその頃はさくらよりもうめを詠ったものが多い。花の代表がうめからさくらの変わったのは、平安時代になってからである。そうは言っても、古代から日本人はさくらに関心を持ち鑑賞してきた民族である。
さくらの種類には大きく分けて野生種と園芸品種(里桜)がある。
 日本の野生のさくらは、ヤマザクラ、オオヤマザクラ、オオシマザクラ、カスミザクラ、エドヒガン、マメザクラ、タカネザクラ、チョウジザクラ、ミヤマザクラの九種類であるが、中国南部や台湾が原産のカンヒザクラが琉球列島や鹿児島で野生化していることから、これも含めて十種類とすることもある。 
 園芸品種には、古くから自然木の中に突然変異により出現した珍しいさくらを見つけ出し、名前をつけたものと、野生種の間で交雑によりできたものがある。
 鎌倉時代になり、政治の中心が近畿圏から関東の鎌倉に遷ると、東西の文物交流が活発になり、さくらにも少なからず影響を与えた。自生地が伊豆半島から湘南地方であるオオシマザクラと、近畿地方に多かったヤマザクラ、カスミザクラとが人の手によって出会い、交雑により新品種が出現した。
 江戸時代には、平和な時代が長く続き、観賞用植物の品種改良が盛んに行われた。さくらも諸国の大名が自慢のさくらを江戸の持ち込んだことやオオシマザクラとの交雑がさらに進み多くの品種がつくりだされた。なかでも有名なのがオオシマザクラとエドヒガンとの交雑によって生まれたソメイヨシノである。
 ソメイヨシノが明治から昭和にかけて全国で盛んに植栽されたことから、さくらの名所の多くはソメイヨシノである。
 現在、さくらの品種は三八〇以上あり今でも新しい品種がつくりだされており、これからもさらに増えていくことであろう。
  
  
 
 
 

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