平成27年度決算の財務書類
平成27年度連結財務書類(財務4表)について
1.財務書類整備の背景
平成18年6月に施行された「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」を契機に、地方公共団体の資産・債務改革の一環として「新地方公会計制度の整備」が位置付けられました。これにより、地方公共団体単体ベースおよび関連団体等も含む連結ベースでの4つの財務書類を平成21年度までに整備することが求められました。
そこで、雲南市においては、平成20年度決算から財務書類を作成することとしました。
4つの財務書類
(1)賃借対照表(バランスシート)
年度末時点の資産、負債、純資産の残高を示すものです。
(2)行政コスト計算書
その年度の行政活動に伴うコストとその財源となる、使用料・手数料等の収入を示すものです。
(3)純資産変動計算書
当該年度における純資産およびその内部構成の変動を示すものです。
(4)資金収支計算書(キャッシュフロー計算書)
当該年度における資金の支出と収入を示すものです。
○財務書類4表の関係
2.対象となる会計の範囲、作成基準など
公表した4つの財務書類は、市の「普通会計ベース」と、それに本市が関係する一部事務組合、第三セクター等を加えた「連結ベース」の2つの区分で作成しています。
作成基準日:平成28年3月31日
※一般会計および特別会計における出納整理期間(平成28年4月1日~5月31日)の入出金については、作成基準日までに終了したものとして処理しています。
※企業会計および関係団体における未収金・未払金のうち、一般会計および特別会計と出納整理期間に取引きがあったものは、作成基準日までに入出金されたものとして処理しています。
3.4つの財務書類
(1)平成27年度貸借対照表(バランスシート)
貸借対照表とは、自治体が住民サービスを提供するために保有している財産(資産)と、その資産をどのような財源(負債・純資産)で賄ってきたかを総括的に対照表示した一覧表です。
また、資産合計額と負債・純資産合計額を一致し、左右がバランスしている表であることからバランスシートとも呼ばれています。
借方 | 貸方 |
《資産》 これまでに形成された市の行政サービスを提供するための資産 ・有形固定資産 ・投資等 ・流動資産 (例)土地、建物、貸付金、投資・出資金 基金等 |
《負債》 将来返済しなければならない債務 ・固定負債 ・流動負債 (例)地方債、退職手当引当金 |
《純資産》 返済する必要のない財産 ・国庫支出金、県支出金 ・一般財源等 |
1)資産
(イ)公共資産
「有形固定資産」は、長期間にわたって住民サービスを提供するために使用されるもので、具体的には、土地、建物、機械装置などが該当します。また、「有形固定資産」は、行政目的別に区分されます。
一方「売却可能資産」は、公共資産のうち、遊休資産や未利用資産など現在行政目的のために使用されていない資産を表しています。
(ロ)投資等
「投資等」には、公社や第三セクター等への出資金や貸付金、基金(特定目的基金)、回収期限が到来してから1年以上回収できない債権(長期延滞債権)などの資産が計上されています。
(ハ)流動資産
「流動資産」には、現金、必要に応じてすぐ使える基金(財政調整基金、減債基金)、税金等の未集金が計上されます。
2)負債
(イ)固定負債
「固定負債」は、貸借対照表日の翌日から1年以降に支払いや返済が行われる予定のものをいい、「地方債」、「長期未払金」、「退職手当引当金」から構成されます。
「地方債」は、翌々年度以降に償還されるものが計上されます。
「長期未払金」は、債務保証や損失補てんの履行が決定した額です。
「退職手当引当金」は、職員が当該年度末時点で退職した場合に必要となる退職手当額を計上しており、将来職員が退職した時点で支払う必要のある金額です。
(ロ)流動負債
「流動負債」とは、1年以内に支払いや返済をしなければならないものをいい、「翌年度償還予定地方債」、「短期借入金(翌年度繰上充用金)」、「未払金」、「翌年度支払予定退職手当」、「賞与引当金」から構成されます。
3)純資産
(イ)公共資産等整備国県補助金等
「公共資産等整備国県補助金等」は、住民サービスを提供するための財産を取得した財源のうち、国・県から補助を受けた部分です。
(ロ)公共資産等整備一般財源等
「公共資産等整備一般財源等」は、住民サービスを提供するための財産を取得した財源のうち、上記の国県補助金等と(建設)地方債を除いた部分です。
(ハ)その他の一般財源等
「その他の一般財源」は、公共資産等以外の資産から公共資産等整備財源以外の負債を差し引いた額です。したがって、翌年度以降に自由に使用できる財源ということになります。
(ニ)資産評価差額
「資産評価差額」は、「売却可能資産」の取得価格と売却可能額との差額や、「投資および出資金」のうち市場価格のある有価証券の取得価格と時価との差額です。資産の再評価により増加あるいは減少した額が計上されます。
雲南市貸借対照表(バランスシート)(H26年度との比較を含む。)
(2)平成27年度行政コスト計算書
行政コスト計算書は、4月1日から翌年の3月31日までの1年間の行政活動のうち、福祉活動やごみの収集といった資産形成に結びつかない行政サービスにかかる経費(経常行政コスト)とその行政の直接の対価として得られた財源(経常収益)を対比させた財務書類です。
行政コスト計算書は、「経常行政コスト」と「経常収益」からなり、これらを差し引きしたものが「純経常行政コスト」になります。
経常行政コストは次のように区分します。
人にかかるコスト | 人件費、退職手当引当金等 |
物にかかるコスト | 物件費(需用費、委託料等)、維持補修費、減価償却費 |
移転支出的なコスト | 社会保障給付、補助費、繰出金、他団体等への補助金等 |
その他のコスト | 災害復旧費、失業対策費、公債費(利息分のみ)、債務負担行為繰入、不納欠損額 |
行政コスト計算書では、経常収益には税収を含まないため、経常行政コストと経常収益とを比べると一般的には大幅なコスト超過になります。
しかし、経常行政コストと経常収益との差し引きで表される「純経常行政コスト」は、民間企業の損益計算書で表される利益の概念とは異なり、資産形成に結びつかない1年間の行政サービスを提供する上で用いられた費用から受益者負担などの収益で賄われたものを差し引いた額で、地方税や地方交付税といった一般財源や資産の売却益などで賄わなければならないコストを表します。
雲南市行政コスト計算書(H26年度との比較を含む。)
(3)平成27年度純資産変動計算書
純資産変動計算書は、貸借対照表の純資産が1年間でどのように変動したかを表している計算書です。
純資産は、これまでの世代が負担してきた部分なので、1年間で今までの世代が負担してきた部分が増えたのか減ったのかわかることになります。
(4)平成27年度資金収支計算書
資金収支計算書は、歳計現金(資金)の出入りの情報を、性質の異なる3つの区分に分けて表示した財務書類です。3つの区分とは、「経常的収支」、「公共資産整備収支」および「投資・財務的収支」です。
「経常的収支」、「公共資産整備収支」、「投資・財務的収支」の合計は、その年度の歳計現金の増減額と一致します。
1)経常的収支
支出には、人件費、物件費などの日常の行政サービスを行うにあたって必要な支出項目が並んでいます。また、歳入歳出決算書では公債費に含まれている地方債の利息部分や他会計等に対する繰出金のうち事務費等の充当財源も経常的収支の部に計上されます。
2)公共資産整備収支
支出には、本市が社会資本を整備する公共資産整備支出、他団体に補助金を支出して公共資産を整備する公共資産整備補助金等支出、そして、他会計への繰出金や補助金のうち建設費に充てられるものが計上されています。
3)投資・財務的収支
支出には、借金の返済額、他会計の借金返済に充当するための繰出金や補助金、他団体に対する出資、貸付金、基金への積立金が計上されます。
(5)主な指標の前年度との比較
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