
市長施政方針(9月定例会)市長施政方針の全文を掲載しますのでご覧ください。
市長施政方針(9月定例会)
令和7年度雲南市議会9月定例会開会に際し、市長の述べました「施政方針」の全文を掲載しますので、ご覧ください。
施政方針全文
令和7年雲南市議会9月定例会の開会にあたり、市政における私の基本的な考え方を申し上げ、議員の皆様をはじめ市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
始めに、大雨対応についてであります。
8月10日から11日にかけて、前線の影響による大雨に見舞われました。松江市や出雲市を中心に大雨となり、本市におきましても、10日13時39分、三刀屋川坂山橋水位観測所の水位が避難判断水位を超えたことから、三刀屋町一宮地区の一部に警戒レベル3、高齢者等避難を発令いたしました。
避難所運営に迅速な対応をいただきました地域自主組織の皆様には、厚く御礼を申し上げる次第であります。
このたびの大雨において、非住家床下浸水1件、市道15路線、農地5箇所、農業用施設7箇所などに被害が発生しております。市民の皆様には、ご不便をお掛けいたしますが、早期の復旧に向けて取り組んで参りますので、ご理解とご協力をいただきますようお願い申し上げます。
次に、物価高騰対応の取り組みについてであります。
物価高騰等の影響を受ける市内事業者や生活者の支援を行うため、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用し、新たな補助事業として、職場環境の改善及び雇用の維持を図る就業環境等物価高騰対応支援事業を実施して参ります。また、年度当初より実施しております消費喚起活動、生産性向上、販売開拓等を支援する中小企業者等物価高騰対応支援事業補助金については、予算を増額して実施して参ります。
加えて、学校給食においても食材費の高騰が影響していることから、給食に必要となる食材の質と量を維持するため、当該交付金を活用した給食費の支援を実施して参ります。
さらには、農産物の輸送コストの増大に対し、農協共販青果物輸送費高騰対策支援 事業として、青果物を県内外の市場へ出荷する農業者に対する支援を実施して参ります。
物価高騰により減退する消費喚起策として取り組んでおります宿泊・観光消費喚起 物価高騰支援事業については、多くの方にご利用いただいているところでありますが、「天然温泉三刀屋の湯ドーミーインEXPRESS出雲の國 雲南」も新たに対象施設とし、今後の利用拡大も見込まれることから、プレミアム付うんなん観光券の追加発行を行い、販売期間についても令和8年1月4日まで延長して取り組んで参ります。
次に、第3次雲南市総合計画に掲げる「えすこに暮らす」、「えすこに育む」、「えすこに創る」の3つの柱に沿って申し述べます。
最初に「えすこに暮らす」に関わることについてであります。
まず、市政懇談会の開催について述べます。
今年度の市政懇談会を6月30日から8月7日まで各町6会場で開催しました。
テーマを「誰もが安心して暮らせる共生社会の実現に向けて」とし、6つの会場で 192名の皆様から様々なご意見やご質問をいただき意見交換を行ったところです。 参加いただいた多くの市民の皆様に感謝を申し上げます。
いただいた貴重なご意見やご提言は市役所内で共有し、今後の市政運営へ活かして参ります。
続いて、国勢調査の実施についてであります。
10月1日を基準日として5年ごとに行われる国勢調査は、国の最も重要な統計調査として、日本に住んでいる全ての人や世帯を対象に全国一斉に実施される調査であります。この調査結果は、国や地方公共団体で行う様々な行政分野の基礎資料として活用されるほか、研究・教育・経済活動などの幅広い分野で活用され、国民生活にも役立てられているところです。
調査にあたっては、多言語への対応を進めるとともにインターネットでのオンライン回答を推奨しておりますので、市民の皆様には、積極的に調査にご協力いただきますようお願いいたします。
続いて、JR木次線の利用促進に向けた取り組みについてであります。
木次線の新たな魅力を都市部の方々に広く知っていただくため、「一両列車の聖地 木次線」というキャッチフレーズを掲げ、7月5日に木次駅にて記念イベントを開催いたしました。当日は島根県知事をお迎えし、記念切符の配布やロゴマークの披露を行い、多くの皆様にご来場いただき、イベントを大いに盛り上げていただきました。
また、同日の午後からは、元小学館の漫画編集者でありました 江上 英樹 さんが制作されたスイッチバックのジオラマの譲渡式を行いました。このジオラマは、木次線の 出雲坂根駅から三井野原駅間にある西日本最大規模の三段式スイッチバックを精巧に再現したもので木次線利活用推進協議会にご寄贈いただき、道の駅「奥出雲おろちループ」に常設展示しております。
加えて、観光列車「あめつち」におきましても、地元ガイドの皆様や沿線地域の方々の温かいおもてなしに支えられ、団体利用が少ない時期にもかかわらず、4月から7月の平均乗車率は約6割と、おおむね順調な利用状況となっております。今後は誘客事業との連携により、団体利用の増加が見込まれており、沿線の周遊観光の活性化にもつなげて参ります。
さらに、今年で5年目となる「元気いっぱい!木次線まつり」を、昨年に引き続き、10月12日と12月14日に開催を予定しております。鉄道の日である10月12日には、きすき駅前賑わい市、鉄道フェスタ、きすきマルシェ、木次まちなかプロジェクトと連携し、「みんな集まれ!木次駅フェス」と題して木次駅周辺を盛り上げて参ります。また、木次線全線開通記念日である12月14日には、江上 英樹さんらにより、出雲坂根駅を舞台の中心として、木次線沿線の魅力を伝える漫画プロジェクト「木次線応援コミックス」の完成お披露目イベントを開催し、鉄道をテーマとした映画「銀河鉄道999」の上映もあわせて予定しております。
このほか、沿線の風景や観光地の魅力が盛り込まれた「木次線カレンダー」を、雲南市と奥出雲町の観光協会で共同制作し、9月下旬より販売を開始する予定としております。
8月6日には、JR西日本から昨年度の平均通過人員が発表され、一昨年度と比較して大幅に減少する結果となりました。要因としては、トロッコ列車「奥出雲おろち号」の運行終了の影響によるものと推測しております。区間の数字のみをもって議論すべきものとは考えておりませんが、今後も危機感を持って、沿線自治体が木次線利活用推進協議会を中心に力を合わせ、引き続き木次線の利用促進に取り組んで参ります。
続いて、母子健康推進ネットワーク懇話会の開催についてであります。
来る11月7日に「母子健康推進ネットワーク懇話会」を本市役所にて開催いたします。母子健康分野の活動団体の代表者や、全国的に高い評価を得ている専門家を迎え、よりよい健康支援のための情報共有や具体的な取り組みについての意見交換を行い、働く世代や子育て世代の健康・体力づくりを効果的に進めるための体制強化に努めていく考えであります。
次に、「えすこに育む」に関わることについてであります。
まず、令和7年度全国高等学校総合体育大会レスリング競技の開催についてであります。
令和7年度全国高等学校総合体育大会レスリング競技は、本年7月27日から30日にかけて、三刀屋文化体育館アスパルにおいて開催し、この間に選手、監督コーチ、 観戦者を含め1万人を超える多くの皆様が会場に訪れ、大会を盛り上げていただきました。
大会運営には、競技役員に加え、地域の高校生を含むボランティアの方にもご協力 いただき、遠方からの来場者にも、「随所に地元の気遣い、心遣いが垣間見られる大変温かい大会であった」との評価の声をいただきました。
この大会が関係の皆様のご協力により無事に開催することができましたこと厚く御礼申し上げますとともに、この経験を本市のスポーツ振興や今後予定されている島根かみあり国スポ・全スポ 2030 に活かして参ります。
続いて、女子ソフトボールクラブチームの誘致についてであります。
先般、県と共同で記者発表を行いましたが、現在、トップリーグにあたる日本女子ソフトボールリーグで活躍されている女子社会人チーム、シトリン一宮が来年1月頃を 目途に雲南市に活動の本拠地を移転されることとなりました。
今回のチームの誘致は、スポーツ振興だけでなく、地域経済の活性化、学校・地域クラブとの交流による青少年の健全育成、市民の健康増進など、幅広い分野に波及効果があるものと考えております。
また、ソフトボールは雲南市にとって前回のくにびき国体の遺産として、性別や世代を問わず親しみの深いスポーツとなっています。選手たちの一生懸命でひたむきな姿は、多くの市民の皆さんの心を動かし、地域に新たな誇りと夢をもたらしてもらえるものと期待しております。
市といたしましては、チーム、島根県、出雲市、ソフトボール協会など関係機関との連携を深め、練習施設整備など受け入れの準備や移転後における支援を積極的に進める所存であります。
市民の皆様におかれましても、どうかこの取り組みにご理解とご協力、そして心温まる応援を賜りますようお願い申し上げます。
続いて、「雲南市二十歳の集い」の開催についてであります。
去る8月14日、三刀屋文化体育館アスパルにおいて、「雲南市二十歳の集い」を開催いたしました。当日は、263名の参加があり、代表して、木次町の 飯塚 敦也さんが、アンパンマンマーチになぞらえ「なんのために生まれて、どう生きるのか、なにをしたいのか、これまで以上に真剣に考えていく必要がある。」と誓いを述べられ、力強い決意に深く感銘いたしました。
二十歳を迎えた方々には、社会を創る主人公として、ふるさと雲南市の誇りを胸に、ご活躍されることを期待するところであります。
続いて、永井隆平和賞についてであります。
第35回永井隆平和賞発表式典を、今月14日に木次経済文化会館チェリヴァホールで開催いたします。
本年も全国から「愛」と「平和」をテーマとした作文861点の応募がありました。審査の結果、小学生低学年の部では三刀屋小学校の 福留 沙依 さんの作品が最優秀賞に選ばれました。そのほか、小学生高学年の部、中学生の部、高校生の部、一般の部においても、県内外からの応募作品がそれぞれの賞に選ばれたところです。
式典当日は、戦後80年ということも踏まえ、最優秀作品の朗読に続き、昨年ノーベル平和賞を受賞された「日本原水爆被害者団体協議会」の代表理事 本間 恵美子 様にご講演いただきます。是非多くの市民の皆様にご来場いただき、平和について改めて 考える機会となることを期待しております。
続いて、ローカルリーダーズミーティングの開催についてであります。
地域の若手起業家の育成を目的として全国の自治体や企業で構成される全国ネットワーク組織「ローカルベンチャー協議会」が主催するローカルリーダーズミーティングが来る10月7日から9日にかけて、本市を会場に開催されます。
全国から官民協働で産業創出に取り組む自治体や中間支援組織、地方創生に関心を 持つ企業など、約150名が参加し、本市の実践事例を学ぶフィールドワークなどを通じて参加者同士で対話と共創によるまちづくりについて議論を深めていただきます。
今後も、全国の様々な人や企業とつながり、関係人口を増やしながら、地域や社会を変革するソーシャルチャレンジの取り組みを進めて参ります。
次に、「えすこに創る」に関わることについてであります。
まず、中山間地域等直接支払制度の状況について述べます。
本年度より新たに始まる第6期中山間地域等直接支払制度について、取り組みを実施される集落より協定書及び対象農用地の一覧を提出していただきました。
この集計の結果、第6期の申請集落協定数は141件、対象農用地は約1,466ヘクタールとなっており、前期までの実績より集落協定数が9件減少し、対象農用地も 約136ヘクタール少なくなる見込みとなっております。高齢化に伴うリーダー不足や事務処理の負担などが要因として考えられ、中山間地域の農業を将来的に持続可能なものとしていくためには、リーダーの育成や事務処理の外部委託化、近隣協定集落との 合併による広域化等の対策を進めていく必要があります。当面は、早急に対象農用地の精査を行い、協定書の認定に向けて取り組んで参りますが、今後の地域計画の見直しの議論の中で、集落協定についても議論を進めていく考えです。
続いて、日本遺産の認定更新についてであります。
本市と安来市、奥出雲町が連携して取り組む日本遺産「出雲國たたら風土記~鉄づくり千年が生んだ物語~」につきましては、平成28年度の認定から2回目の更新に向け、令和7年からの6年間の計画を提出し、文化庁の審査を受けておりましたが、この度 7月31日付けで、認定継続が決定いたしました。
引き続き、構成する市町と官民が一体となって、認知度の向上と受入体制の整備を進め、周遊観光や宿泊者の増加に向けて取り組んで参ります。
続いて、次期一般廃棄物処理施設の検討状況についてであります。
次期一般廃棄物処理施設整備につきましては、先の市議会において計画を再考することをお伝えしたところですが、今議会では、在り方の再検討に係る調査費用を補正予算として計上しております。施設の分散整備やごみ処理業務委託の可能性などについて、詳細の調査を行いながら引き続き鋭意検討に努め、雲南圏域にとって喫緊の課題であるとの認識のもと、最適な仕組みを一刻も早く整えていく所存であります。
続いて、脱炭素社会の実現に向けた取り組みについてであります。
再生可能エネルギーの推進につきましては、4月に市内で設立された株式会社うんなん共創エネルギーへ、発行株式の5パーセントとなる50万円を出資したところであり、公共施設の電気契約を順次切替えているところです。
環境省の地域レジリエンス事業補助金について、株式会社うんなん共創エネルギーと共同提案を行い、採択を受けましたので、今年度中に市内13か所の公共施設に太陽光発電と蓄電池を整備して参ります。
また、回収した廃食油を市内で高純度バイオディーゼル燃料に転換するため、カナツ技建工業株式会社と企業チャレンジ連携協定を締結いたしました。今後、事業者において製造装置の導入等が進められ、本年度中に事業を開始される予定です。引き続き、 廃食油回収の拡大に向けて、市民の皆様のご協力をお願いいたします。
続いて、コウノトリを市の鳥に指定することについてであります。
市内におけるコウノトリの営巣が9年連続となり、3か所の巣塔から過去最多の8羽が巣立つなど、コウノトリが雲南市に安定して定着していると判断できる状況です。 また、市内での営巣が来年で10周年を迎えることから、コウノトリを「市の鳥」に 指定するための準備を進めたいと考えており、来年3月の市議会定例会に議案を上程できるよう取り組んで参ります。
最後に「行政経営」についてであります。
まず、財政状況について述べます。
令和6年度普通会計の歳出決算額は、316億5千7百万円余、前年度比1.7パーセントの減少となりました。
これは、令和3年7月豪雨に伴う災害復旧費をはじめ、定額減税調整臨時給付金や物価高騰対応重点支援臨時給付金などの物価高騰対策により歳出が増加する一方で、令和5年度まで実施していたFTTH整備事業完了による歳出減により、おおむね前年度並みの決算規模となったものです。
また、令和6年度には5億円の繰り上げ償還を実施しましたが、そのための基金の取り崩し額を除く収支不足額として、財政調整基金及び減債基金の取り崩し額を4億円まで圧縮し、さらに決算において4億円の黒字を出したことで、収支バランスを維持することができたものと考えております。
これまでの財政健全化の取り組みにより、単年度の実質公債費比率は10.2パーセントと大幅に抑えることができ、3年平均で11.1パーセントと対前年度比0.1ポイント減となるとともに、将来負担比率は88.1パーセントと4ポイント下げることができました。
しかしながら、一定の公共事業を確保する中で、人件費や扶助費といった義務的経費の増加などを考慮すると、今後一層の行財政改革を推進しなればならない状況は変わっていないものとも認識しており、引き続き、公共施設等総合管理計画の改訂や行財政改革を通じて、健全財政の維持に努めて参る所存であります。
続いて、補正予算についてであります。
一般会計は、今年度被災した農地・農業用施設に対応するため災害復旧事業4千3百万円、道路維持補修事業3千5百万円、有害鳥獣捕獲奨励事業2千2百万円余、国民スポーツ大会関連事業1千9百万円余、各種公共施設小規模修繕事業2千万円、各種事業補助金等返還金7千9百万円余の追加などを計上しております。
また、特別会計等におきましては、国民健康保険事業特別会計、後期高齢者医療事業特別会計、下水道事業会計、病院事業会計で、それぞれ事業内容の変更等に伴う補正予算を計上しております。
その外、議案として、条例3件、一般事件7件、認定事項7件、諮問事項4件、報告事項8件を提出しておりますので、慎重にご審議いただき、可決賜りますようお願い申し上げ、開会にあたっての施政方針といたします。
令和7年9月4日
雲南市長 石 飛 厚 志
お問い合わせ先
- 政策企画部 政策推進課
- 〒699-1392
島根県雲南市木次町里方521-1 - Tel 0854-40-1011
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