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市長所信表明(12月定例会)市長所信表明の全文を掲載しますのでご覧ください

市長所信表明(12月定例会)

令和2年度雲南市議会12月定例会開会に際し、市長の述べました「所信表明」の全文を掲載しますので、ご覧ください。

所信表明全文

12月定例議会の開会にあたり、諸議案の説明に先立ちまして、市政運営に対する私の基本的な考え方を申し上げ、市議会の皆様並びに市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。

はじめに、速水前市長には、6町村の対等合併による新市誕生以来4期16年の長きにわたり、卓越したリーダーシップにより全国的にも注目されるブランド力の高い「雲南市」に育て上げられました。この間に果たされた多大なるご功績とご労苦に対しまして、深く敬意を表する次第であります。

私にとりましては、初めての市政運営となりますが、速水前市長が築き上げられた市政を土台としながら、国、県での行政経験とふるさと島根定住財団における経験を通じて培った知識や人脈を最大限活かし、時代の変化や社会の変化に適切に対応した持続可能な行財政運営を行って参る所存です。

また、藤井副市長の退任に伴い、新たに吉山(よしやま) (おさむ)副市長の任命の提案に対し、ご同意を賜り厚く御礼申し上げます。
この度、ご勇退されました藤井前副市長におかれましては、3期12年の長きにわたり、雲南市政の円滑な運営にご尽力をいただいたところであり、深く敬意を表する次第であります。

さて、市長選挙に立候補を表明して以来、市内各地を回り、地域の実情を見させていただくとともに、様々な意見を伺って参りました。特に、人口減少や高齢化により、空き家や耕作放棄地の増加、担い手の減少、災害への不安など、市民の皆様の困り事や心配事が多岐にわたり増えていることを実感いたしました。こうした厳しい状況の中で、地域を守るために奮闘されている皆様の熱意と行動に真剣に応えていかなければならないと強く思ったところです。
先の選挙におきましては、「雲南に新しい風を!」とのキャッチフレーズを掲げ、市政をリフレッシュし、住民本位の行政を展開することを訴えて参りました。現場に出向き、現場の声に耳を傾け、地域の課題を共有し、そこから課題解決の糸口を見つけ出す、市職員の一人ひとりがこうした現場に寄り添う姿勢を持つことが、行政への信頼を高めていくものと考えております。市民の皆様に市政の変化を感じていただけるよう力を尽くして参ります。

続いて、私の市政運営に臨む基本的な考え方について申し述べます。
雲南市のまちづくりの推進に当たっては、令和6年度までの施策の目標と方向性を示した「第2次雲南市総合計画後期基本計画」・「第2期雲南市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を基本として参ります。

雲南市は今、人口の減少を始めとして様々な課題を抱えています。
島根県の人口移動調査によると、本年10月1日現在の本市の推計人口は、35,647人であり、総合戦略の目標人口36,500人を下回っている状況にあります。これまでの取組により、10代未満と30代の社会増減がプラスに転換するなど、一部には改善が見られるものの、依然として松江市や出雲市への流出が続いており、本市の優れた自然環境や立地環境が十分に発揮できていない状況にあります。市民の皆様とともに雲南市の魅力をさらに高め、若者や子育て世代が住み続けたいと思える地域を実現し、人口減少を少しでも緩やかなものにしていく必要があります。
また、地域づくりの基盤となる地域自主組織についても、担い手の高齢化により運営の厳しさが増しつつあり、「地域づくり」「生涯学習」「地域福祉」の三本柱を中心に継続的に運営していけるよう、担い手の育成・確保や財源の確保、事業や組織の継続的な見直しなどにより、先を見据えて対応していく必要があると考えております。

さらに、人口減少は、行財政にも大きな影響を及ぼすものと見込まれます。
本市は、ここ数年、大規模なハード事業が相次ぎ、さらに現在も複数の大型プロジェクトが進められようとしています。財政力が脆弱な本市にとりまして、これらの事業が将来の財政に与える影響は極めて大きいと考えられます。また、新型コロナウイルス感染症の収束も未だ見えず、この先の財政見通しは非常に不透明であると言えます。
このような状況の中で、現在進められようとしている大型プロジェクトについては、限られた財源の有効活用の視点、事業の目的に照らした費用対効果の視点などを踏まえ、事業内容を十分に精査する必要があると考えております。

以上の「人口減少への対応」「地域自主組織を基盤とした持続可能な地域づくり」「将来を見通した健全な行財政運営」の3点をまちづくりの最大の命題として取り組んで参ります。
そのまちづくりを具体的に進めるに当たっては、次の6つの視点を重視して参ります。
まず、一点目は、「今と未来」を大切にする視点です。
地域には、農業や商工業、地域活動に懸命に取り組んでいる方々がたくさんいらっしゃいます。親の姿を見て育つ若い世代が地元に定着するためにも、「今」をがんばる人たちの思いに応えていく必要があります。同時に、「未来」を見据え、雲南市で生まれ育った子どもたちに地元への愛着や魅力を感じてもらえるような学びの場を確保し、将来この地域を担ってくれる人材を育てていくことが大切だと考えております。

二点目は、「いのちとくらし」を大切にする視点です。
自然災害や新型コロナウイルスなどの感染症から市民の「いのちとくらし」を守ることは行政の最大の責務であります。そのため、防災・減災対策の実施や自主防災組織の活動の充実により防災力を強化するとともに、医療と福祉の連携を一層進め、誰もが安心して暮らせるまちを築いて参ります。また、新型コロナウイルス感染症対策については、国や県と連携を図り、市民生活への支援や経済対策を適切かつ迅速に行って参ります。

三点目は、「パパやママの思い」を大切にする視点です。
本市には若い夫婦の共働き世帯が多く、子育て環境は大きな関心事であります。このため、妊娠、出産、子育てに至るまでの切れ目のない支援や質の高い教育環境、さらには若者・ファミリー層向けの住環境の整備など、若い世代のニーズにマッチした住みやすい環境を整えることで、若者や子育て世代の定着を図り、さらには市外からの流入も生み出して参ります。

四点目は、「地域の宝」を大切にする視点です。
本市は、中山間地域ならではの豊かな農山村の景観やたたら製鉄を始めとする歴史、文化、産業に関わる多様な資源、さらには有機農業が生み出す新鮮で安全な農産物など、アイデア次第でブランド力を高められる地域資源が豊富に存在しています。こうした地域の宝を民間の活力も活かしながら、観光振興や地場産品の販売力向上につなげて参ります。
また、市内には、捕獲されたイノシシ肉をジビエ商品として加工販売する若者や耕作放棄地を再利用して生姜などのスパイスを栽培し商品開発を行う若者など、地域の課題解決をビジネスに結びつける意欲的な取組を行う人材が活躍しています。こうした人材も貴重な地域資源として活動を支援して参ります。

五点目は、「コウノトリに愛される環境」を大切にする視点です。
本市は、コウノトリの飛来するまちとして有名になりました。この地で有機農業や低農薬農業など自然にやさしい農法が行われていることを裏付けるものであります。この素晴らしい環境を市民の皆様とともに守り、子どもたちの学びと郷土愛の醸成に活かして参ります。

最後の六点目は、「川の流れが結ぶまち」を大切にする視点です。
本市は、松江、出雲の両市とつながり、広島県からの玄関口になる極めてポテンシャルの高い条件を備えています。農林業、商工業、観光の各分野で、この立地環境を最大限に活かすとともに、住環境に優れた本市と経済の中心である松江市、出雲市との関わりを重視して参ります。また、引き続き雲南圏域を形成する奥出雲町、飯南町との連携も図って参ります。

以上、市政運営に臨む基本的な考え方を申し述べましたが、市民の皆様が幸せを感じ笑顔で暮らせるまち、そして将来を担う子どもたちが夢と希望を持てるまちとなるよう、全力で取り組んで参ります。

次に、諸般の経過及び直面する諸課題について述べます。
まず、去る11月3日に発令された秋の叙勲及び秋の褒章についてであります。
木次町の妹尾(せのお) (けん)(じゅ)様が消防功労により(ずい)(ほう)双光(そうこう)(しょう
)
の栄に浴されました。また、大東町の神庭(かんば) 日出男(ひでお)様が業務精励により黄綬(おうじゅ)褒章(ほうしょう)の栄に、大東町の加本(かもと) (しん)()様が更生保護功績により藍綬(らんじゅ)褒章(ほうしょう)の栄に浴されました。
皆様の長年のご活躍とそれぞれの分野でご尽力されたご功績に深く敬意を表し、受章のお慶びを申し上げますとともに、今後とも健康にご留意され、ご活躍されることを心より祈念いたします。

続いて、ケーブルテレビ伝送路(FTTH化)整備についてであります。
ケーブルテレビ伝送路については、施設の老朽化に伴い更新が必要となっておりましたが、本年度、新型コロナウイルス感染症対策として措置された国の事業を活用し、有利な財源のもと、遅くとも令和7年度までに整備が完了するよう調整を進めてきたところです。
先般、国の補助金の交付決定を受けたことから、本年度から令和3年度にかけて、市内全域の幹線整備と吉田町・掛合町の宅内引込工事を実施することといたしました。
加えて、通信環境が十分でない小中学校13校の高度無線環境を整備し、ICTを活用した教育環境の充実を図って参ります。
一日も早く市内全域で高速通信サービスがご利用いただけるよう鋭意取り組んで参ります。

次に、地域防災に関する取組についてであります。
本年度重点的に取り組んでおります「土砂災害特別警戒区域(通称レッドゾーン)の指定」及び「デジタル防災無線整備事業」について、去る10月に市内6会場において住民説明会を開催したところです。
レッドゾーンの指定につきましては、島根県において、本年度内に県内全域での指定完了をめざして取り組まれているところであり、人命を守るために土砂災害の発生する場所を明らかにし、開発行為の制限や建築物の構造規制等を行うものであります。これによる市民生活への影響もありうるものと考えられますが、市民の皆様の安全安心を守るために指定は必要であるとの考えのもと、本市としても取組を進めて参ります。
併せて、浸水想定区域の変更などの見直しを進めている防災ハザードマップについても、周知を図って参ります。

次に、地域医療連携推進法人の設立についてであります。
地域の実情に対応した医療提供体制の構築をめざす、県の地域医療構想に基づき、医療機関相互の機能分担や医師の確保などに取り組むことを目的に、雲南市立病院と町立奥出雲病院で「地域医療連携推進法人」の設立に向けた取組を進めているところです。去る   10月には、法人の事務局を担う「地域医療連携推進センター」を雲南市立病院内に設置したところであり、本年度内の法人設立及び令和3年度からの事業開始に向けて準備を進めて参ります。

次に、季節性インフルエンザ流行期に備えた新しい診療・検査体制についてであります。
新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行に備え、雲南医師会のご協力により、本年11月から市内医療機関において発熱患者等の相談・受診・検査体制が整備されたところであります。市民の皆様には、感染症の予防対策を一層徹底していただくようお願いするとともに、発熱時には、まず、かかりつけ医にご相談いただきますようお願いいたします。

次に、小中学校児童生徒1人1台の学習用タブレットを配備する「GIGAスクール構想」についてであります。
本年度から着手するケーブルテレビ伝送路の整備により、令和3年度中に概ね全ての学校で高速大容量通信が可能となることから、本年度中に児童生徒1人1台の学習用タブレット端末の整備を図ることとし、関連する補正予算を本議会に提出しております。
これにより、デジタル教材を活用した学習活動や遠隔教育、合同授業など、個別最適化された学習環境の実現に向けた環境整備を進めて参ります。

次に、新型コロナウイルス感染症による影響に対する支援策についてであります。
新型コロナウイルス感染症の影響により、特に飲食業・宿泊業などのサービス業においては、感染不安などの理由から利用客の減少が続いている状況にあります。このため、新たに市から派遣する衛生管理アドバイザーの指導に基づく各事業者の感染予防対策に対する支援を本年11月から開始いたしました。加えて、キャッシュレス決済サービスを活用した消費者還元サービスを来年2月から3月中旬までの実施を予定しており、関連する補正予算を本議会に提出しております。
また、本年10月、市内の温浴施設などの産業関連施設や社会教育関連施設、交流センターなどの指定管理者に対し、4月の休館要請に伴う協力金を交付したところであります。
引き続き施設を利用される際には、感染防止対策の徹底をお願いいたします。

次に、有害鳥獣対策についてであります。
有害鳥獣の被害拡大に歯止めがかからず、捕獲頭数も増加している状況から、本議会に有害鳥獣捕獲奨励金を増額する補正予算を提出しております。これにより、有害鳥獣の捕獲による個体数調整の強化に取り組み、被害の抑制に努めて参ります。

次に、JR西日本の豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス瑞風(みずかぜ)」の運行再開についてであります。
トワイライトエクスプレス瑞風は、新型コロナウイルス感染症の影響により本年2月から運休しておりましたが、令和3年2月17日からの運行再開が決定されたところであります。瑞風バスによる立ち寄り観光の再開が本市にとって良い影響をもたらすことを期待しております。

次に、中心市街地活性化事業の主要事業の一つでありますビジネスホテルの整備についてであります。
このビジネスホテルの整備については、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を受け、一時的に保留状態となっておりましたが、この間、ホテルの建設主体である株式会社共立メンテナンスとの協議を重ねてきた結果、この度、当該企業と本市で、「令和5年4月の開業をめざし、令和4年4月には工事に着手をする」との合意を得ることができました。コロナ禍にもかかわらず、建設時期、開業時期が明らかになったことは、大きな前進と言えます。
また、この計画をより広く周知するために、当該企業にビジネスホテルの建設を明示する看板を設置いただくことになりましたので、併せてご報告いたします。

最後に「行政経営」についてであります。
まず、令和3年度当初予算編成方針について述べます。
総務省の概算要求では、地方の一般財源総額については、令和2年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保することとされ、地方交付税は、令和2年度と比較して0.4兆円減額の16.2兆円とされたところです。しかしながら、歳入面では新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、国税、地方税等が減収となる見込みであり、また、歳出面は、新型コロナウイルス感染症対策などの経費の取り扱いが定まっていないなど、現時点では不透明な状況であります。
このような状況の中で、令和3年度当初予算編成については、一般会計予算の規模は、大規模な普通建設事業が令和2年度に完了する見込みであることを考慮し、285億円程度に設定したところです。

続いて、令和2年度補正予算についてであります。
一般会計は、雲南市飯南町事務組合負担金(CATV事業)16億2百万円、公立学校情報機器整備事業3億3千1百万円、政策選択基金積立金1億4千万円、農林・公共土木災害復旧事業7千8百万円、ふるさと納税推進事業7千3百万円、キャッシュレス決済消費喚起支援事業2千3百万円、雲南市飯南町事務組合負担金(清掃事業)2千1百万円、電算総務管理事業1千5百万円などを追加計上しております。
また、特別会計等におきましては、国民健康保険事業特別会計、後期高齢者医療事業特別会計、生活排水処理事業特別会計、水道事業会計、下水道事業会計、病院事業会計で、それぞれ事業内容の変更等に伴う補正予算を計上しております。

その外、議案として、条例7件、一般事件29件を提出しておりますので、慎重にご審議いただき、可決賜りますようお願い申し上げます。

以上、私の市政運営に臨む所信の一端を申し述べさせていただきましたが、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、重ねてお願い申し上げ、開会にあたってのご挨拶といたします。

 

 

 

令和2年12月9日 

雲南市長 原 仁史


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