市報うんなん2016年12月号
加茂岩倉遺跡銅鐸出土20周年記念シンポジウム
平成8年10月14日に加茂町岩倉の農道工事現場より大量の銅鐸が出土してから今年で20年を迎えたことを記念して10月1日(土曜)に加茂文化ホール ラメールでシンポジウムを開催し、市内外より約130人が参加しました。
シンポジウムは、ラメールミュージカルスクールの子どもたちの素晴らしい歌声で幕を開けました。ラメールミュージカルスクールでは、銅鐸が出土した感動を心にとどめ、忘れないために平成9年10月に初演されたミュージカル『交響詩 古代』を再構成し、銅鐸出土20周年を記念して来年3月に再演予定です。こちらにもご期待ください。

ラメールミュージカルスクールの子どもたちの合唱
続いて、銅鐸出土以来、加茂岩倉遺跡の保護・活用に関して多年にわたり貢献いただいた「遊学ボランティアの会」(会長 菊地敏雄(きくちとしお)さん)、「出雲國(いずものくに)・加茂2000年プロジェクト」(会長 舟木 清(ふなききよし)さん)、岩倉自治会(会長 小林恵一(こばやしけいいち)さん)に速水市長より感謝状が贈呈されました。

感謝状贈呈
そして、加茂岩倉遺跡の銅鐸について発見当初から調査・研究に従事され、わが国の銅鐸研究の第一人者として活躍中の奈良文化財研究所客員研究員 難波洋三(なんばようぞう)さんに「発見から20年 今、加茂岩倉銅鐸が語ること」と題した基調講演をしていただきました。難波さんからは、加茂岩倉銅鐸以降に発見された長野県中野市の柳沢遺跡出土銅鐸や、昨年4月に7個の銅鐸が出土したことで話題となった兵庫県南あわじ市の松帆(まつほ)銅鐸を取りあげて、加茂岩倉遺跡や荒神谷遺跡(出雲市斐川町)から出土した銅鐸を含む弥生時代の青銅器について最新の研究成果を発表いただきました。なかでも、近年の化学分析の結果から、銅鐸に使用された金属原料が朝鮮半島産から中国産に変わったことや、中国の歴史書『史記』(著者 司馬遷(しばせん))の記載内容の検討から、加茂岩倉遺跡や荒神谷遺跡から出土した多量の青銅器は、出雲西部を中心とする地域が生み出す富をもってすれば十分に入手可能な量であったと説明されたことには、会場からも驚きの声が上がっていました。

難波さんの基調講演
シンポジウムでは「雲南の古代を探る~銅鐸・古墳・風土記~」というテーマで、基調講演をしていただいた難波さんに加え、島根県立八雲立つ風土記の丘 所長 松本岩雄(まつもといわお)さん、島根県古代文化センター 専門研究員 平石 充(ひらいしみつる)さんをパネリストに迎え、雲南市文化財保護審議会副会長 田中義昭(たなかよしあき)さんの司会でパネルディスカッションが進められました。加茂岩倉遺跡の銅鐸が埋められた弥生時代から、神原神社古墳(加茂町)や松本古墳群(三刀屋町)が造られた古墳時代、そして『出雲国風土記』が編さんされた飛鳥・奈良時代までを対象として、雲南地域の地域的特色について熱い議論が交わされました。パネリスト・コーディネーターの皆さんからは、「雲南地域の歴史的特性を明らかにするために、今後も継続的に調査・研究を進めていくこと」の重要性が指摘されました。
加茂岩倉遺跡から全国最多の39個の銅鐸が出土して20年が経過しましたが、約2000年前の弥生時代の社会を考える上で、加茂岩倉銅鐸が持つ重要性はまったく色あせておらず、郷土の誇るべき文化財を改めて認識する貴重な機会となりました。

パネルディスカッションの様子
加茂岩倉遺跡および荒神谷遺跡から出土した銅鐸の中に、兵庫県南あわじ市の松帆銅鐸と同じ鋳型から作られた同笵(どうはん)(兄弟)銅鐸が存在することが10月末に明らかになりました。同笵銅鐸は同じ場所で製作されたと考えられていることから、出雲と淡路が共通の製作地から銅鐸を入手していたことになり、弥生時代の広域ネットワークにおいて、出雲と淡路が結ばれていたことが想定されるなど、重要な情報が得られました。今後、弥生時代の青銅器文化や社会を明らかにしていく上で、加茂岩倉銅鐸がますます注目されていくことが期待されます。

文化庁文化財部長 藤江洋子(ふじえようこ)さんのあいさつ

加茂岩倉遺跡出土時の記者会見
これまでのあゆみ
加茂岩倉遺跡で銅鐸が出土してから今日までの流れを紹介します。
銅鐸出土
1996年(平成8年)10月14日 農道の工事中に銅鐸が出土
1996年(平成8年)10月28日 加茂岩倉遺跡出土銅鐸調査開始
1996年(平成8年)11月1日 第1次発掘調査開始
1997年(平成9年)5月14日 第2次発掘調査開始
国の史跡に指定
1999年(平成11年)1月14日 加茂岩倉遺跡が国の史跡として指定
重要文化財に指定
1999年(平成11年)6月7日 出土銅鐸が重要文化財に指定
2002年(平成14年)3月29日 加茂岩倉遺跡発掘調査報告書刊行
国宝に指定
2008年(平成20年)7月20日 銅鐸が国宝に指定



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