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さくら色々Vol.9

市報うんなん2013年3月号

 
さくら色々 Vol.9
このコーナーでは、さくらに関する知識や「さくら守」として年間を通して手入れをする中で、経験したことを紹介します。 
 
   
 さくら守 遠田博 さん
お花見の習慣

 木次の斐伊川堤防桜並木の開花に合わせて、さくら祭りが例年4月上旬に開催され、10万人ともいわれる花見客で賑わいます。
 この「お花見」という習慣はいつ頃から始まったのでしょうか。
花見には2つの流れがあって、1つは貴族の花見としてのいわゆる「宴」で、もう1つは農民の花見(「春山行き」)です。
 奈良時代の貴族の花見は、始めは中国から伝わった梅の花を愛でる「宴」を行っていましたが、平安時代になると日本の桜の花に関心を向け、さくらの「宴」が盛んに行われるようになりました。
 一方、農民の花見は、桜が咲く頃に酒や食物を持って小高い丘や山に登って花を見ながら飲み食いをして一日過ごす、「山行き」、「春山行き」と言われる行事で、花の咲き具合を見て、稲の出来具合を占う農耕民族の農事儀礼としての「花見」でもあったのです。
 江戸時代中期以降になると貴族と農民の花見文化が結びつき、都市の庶民の楽しみとして、公家も武士も農民も商人も、上層も下層も誰もが楽しむことができる行事となっていきました。
 それは落語の世界でも見られ、有名なのが、大家さんが貧乏店子(たなこ)を連れて上野の山へ花見に行く「長屋の花見」のお話です。
 酒肴を用意するのですが、貧乏長屋ですから、酒は番茶を水で薄めたもの、卵焼きは黄色のたくあん、かまぼこは大根を半月に切ったもの、それを持って賑やかに花見に行くのですが、そこでのやり取りが面白い。

大家:「ところで誰も酔わないな」
店子1:仕方なく「酔った」
店子2:「それじゃだめだよ『さー酔った』」
大家:「ずいぶん早いね」
店子2:「酔いも早いが、覚めるのも早い」
大家:「嬉しいね、お前だけ酔ってくれて、吟味した灘の生一本だぞ」
店子2:「宇治かと思った」
  「近々、長屋に良いことがありますよ」
大家:「どうしてだ」
店子2:「酒柱が立ってます」
 
それでは、今年も賑やかにお花見に出かけることといたしましょう。
 
  
 
 
 

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