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市長所信表明(3月定例会)

速水市長雲南市議会3月定例会

平成27年雲南市議会3月定例会開会に際し、市長の述べました「所信表明」の全文を掲載しますので、ご覧ください。

所信表明全文

平成27年雲南市議会3月定例会の開会にあたり、市政における私の基本的な考え方を申し上げ、議員の皆様をはじめ市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

まず、第51回全国児童才能開発コンテスト文部科学大臣賞の受賞についてであります。このたび、大東小学校3年の小山真由子(こやままゆこ)さんの「傘のけんきゅう」が、第51回全国児童才能コンテストの科学部門で、最高賞となる文部科学大臣賞(低学年の部)を受賞されました。
また、第60回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書の部において、大東小学校5年の大塚成実(おおつかなるみ)さんが第三席にあたる全国学校図書館協議会長賞を受賞されました。
さらに、第74回全国教育美術展において、寺領小学校が全国学校賞の第一席にあたる文部科学大臣奨励賞を受賞されました。
このように、芸術・文化の分野において素晴らしい成果を挙げられたことは、受賞された2人の児童にとって将来への大きな自信となるとともに、市内のすべての小中学生の励みになるものと考えます。受賞者、受賞校に対し、市民挙げて祝福し、お祝いを申し上げます。

さらに、NHKとJA全中などが共同で主催されています第44回日本農業賞の「食の架け橋の部」で奥出雲産直振興推進協議会が大賞を受賞されました。このたびの受賞は、雲南1市2町の約3,000人の会員の皆様が産直活動に取り組まれ、年間7億円以上の販売をされるほか、地産都商や食育など多岐にわたる地域振興への貢献が評価されたものであります。長年の取り組みとご功績に敬意を表し、お慶び申し上げますとともに、本市農産物の消費拡大に向け、この機会を有効に活用させていただきたいと考えます。

また、去る2月2日に第22回しまね景観賞の表彰式が行われ、雲南市の「斐伊川堤防桜並木」が大賞、西日登の「斐伊川吉井堰魚道(よしいぜきぎょどう)」と県道掛合大東線の「雲南地蔵街道」が優秀賞の栄に浴したこところです。
特に、大賞の「斐伊川堤防桜並木」は、県内はもとより県外からも数多くの人を引き付ける地域を代表する観光・景観資源であり、これまでの官民を挙げた地域ぐるみの桜の保全活動の実績が認められたものです。この度の大賞受賞を励みとして、今後とも雲南市さくらの会をはじめ地域の皆様と一緒に、保全活動により一層取り組んで参ります。

さて、かねてより総務省に要望しておりました地方交付税の合併算定替終了後の算定の見直しについて、平成27年度以降の見直し追加の方針が示されました。
主な内容については、平成26年度からの支所に要する経費に加えて、平成27年度からは、人口密度等による需要の割増し、標準団体の面積の見直しによる単位費用の変更などが行われ、国全体の削減予定総額9千5百億円の7割が復元されることとなりました。この見直し方針については、雲南市の呼びかけにより、中国地方の4市で策定しました「交付税制度研究会報告書」が参考とされております。本市の復元額は、減額分の7割程度の約21億円と見込んでおります。
こうした見直しを踏まえ、「中期財政計画」「長期推計」を策定したところであります。

また、本市の地域自主組織のように概ね小学校区などの単位で地域主体のまちづくりに取り組む自治体が全国的に増加してきており、平成の大合併をした自治体ばかりではなく、中核市や政令市においてもみられるようになってきました。
こうしたことから、同様の取り組みに挑戦する自治体等と横のネットワークを構築し、全国的に推進していくため、本市をはじめ、三重県伊賀市、名張市、兵庫県朝来市の4市が発起人となり、全国の142自治体に加入いただき、「小規模多機能自治推進ネットワーク会議」を設立いたしました。去る2月17日に都内で開催した設立総会では、代表に私が選任されたところであり、今後、全国規模で相互に情報交換し、様々な課題に向き合い、相互に高め合いながら、必要に応じて国への政策提言も行い、全国の地域自主組織の活動を支援して参ります。
こうした全国規模の動きは、合併以来、市民の皆様と積極的に地域づくりを進めて参った結果であり、皆様のこれまでの努力に深く感謝いたすところです。

また、政府は、地方創生の実現に向けて、今後5年間の施策の方向性を示す「まち・ひと・しごと創生総合戦略」と「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」を閣議決定し、3.5兆円規模の新たな経済対策が進められることになりました。
こうした国の動きを受け、本市においても国の地域住民生活等緊急支援のための交付金を活用して、3月補正予算において、地域消費喚起・生活支援型により、各種プレミアム商品券発行事業7千6百万円、住宅リフォーム事業補助金3千8百万円、多子世帯生活支援商品券支給事業1千万円を、また、地方創生先行型により、中間支援組織育成・確保事業2千3百万円、地方創生総合戦略推進事業5百万円、キャリア教育推進事業4千2百万円などの総額1億9千3百万円を計上し、事業を実施することといたしました。

さて、平成27年度は新たな10年に向かってのスタートの年であります。
その新たな10年を「人口の社会増」を大きな目標に掲げ、「飛躍の10年」にしなければなりません。「地方創生」「人口の社会増」に向け、政府が平成27年度中に求めている地方版地方創生総合戦略の早期策定、庁内推進体制の整備を図るとともに、「住宅」「雇用」「子育て」「教育」「若者チャレンジ」の5つの重点分野において、新たな事業や既存事業を効果的、効率的に取り組み、キャリア教育を通じた「子どもチャレンジ」、志のある若者による「若者チャレンジ」、さらに、これまでの地域自主組織による「大人チャレンジ」の3つのチャレンジの連鎖により課題解決先進地をめざします。
そして、その取り組みはプラチナ社会の実現につながると確信いたします。

その推進体制としては、定住対策を担当する「うんなん暮らし推進課」を新たに政策企画部に設置し、本市の定住支援情報を一元的に発信するとともに、定住推進員の増員や都市圏の移住フェア等への積極的な参加などにより、移住・交流人口の拡大を図って参ります。
さらに、平成27年度から始まる「子ども・子育て支援新制度」への対応を含めた政策を一体的に進めるため、健康福祉部「子育て支援課」と「子育て相談室」は廃止し、新たに「子ども政策課」と「子ども家庭支援課」の2課による「子ども政策局」を設置いたします。
また、同局内には「子ども家庭支援センター(仮称)」も設置し、これまで教育委員会学校教育課で行ってきました業務との一元化を図り、教育・保健・福祉・医療の関係機関等との連携・協働によるコーディネート機能を発揮させ、乳幼児期からの子どもの発達や、虐待、不登校及び就労の支援を行います。
また、市民環境部に「環境政策室」を設置し、併せて、「市民環境生活課」を「市民生活課」に改めます。これにより、地球温暖化対策、エネルギー政策や廃棄物対策などに対して、地域の実情に応じた機動的かつきめ細やかな環境政策に取り組みます。

さらに、5つの重点分野の一つである「住宅」分野においては、子育て世帯に対し住宅取得に関する支援事業を実施して参ります。宅地をできる限り取得しやすいように市有住宅地の長期貸付け、譲渡や民間分譲住宅地の購入助成を実施して参ります。併せて、新築住宅に対する固定資産税の課税免除期間の延長、住宅リフォーム事業の拡充を図り、快適な住まい環境づくりへの支援を行って参ります。
また、定住促進住宅の「木次東団地」「加茂中団地」においては、現在50戸余りの空部屋があることから、家賃の見直しを行うとともに、市外から転入される子育て世帯に対して家賃の減額を行い、入居者支援を推進して参ります。

「雇用」分野においては、確実な雇用創出に向けしっかりとした行政支援を行うため、起業や事業承継サポートを強力に行う専門家を配置することにより、雲南市産業振興センターの機能強化を図ります。全国公募により専門家を選抜配置するとともに、経営に不可欠な事業計画立案、税務、労務、デザイン、販路開拓及びIT専門家のアドバイスにより、相談者にとって使い勝手の良い、支援の行き届いたセンターをめざします。平成27年度においては、人材確保と産業振興センターの運営ビジョンを策定します。

「子育て」分野においては、子どもたちの健やかな成長に資するため、子ども医療費助成事業の対象を義務教育終了まで拡充いたします。
また、これまで、18歳未満の児童が3人以上の世帯については、3人目以降の3歳未満児に限り保育所保育料を2分の1に軽減する制度を設けていましたが、これを拡充し、平成27年度から18歳未満の児童が3人以上の世帯については、第3子以降の保育所及び幼稚園保育料とも無料にすることといたしました。これにより、多子世帯における経済的負担の軽減を図って参ります。

「教育」分野においては、学力の向上を図るとともに、市民、NPO、行政との協働による新たな拠点・ネットワークにより、自立した社会性のある大人への成長をめざす雲南市独自の「キャリア教育」を推進して参ります。

最後に、「若者チャレンジ」分野においては、雲南市の地域づくりにおいて、不足している専門的な知識や技術を持つ方の誘致や専門技術を移転することで、若者のチャレンジを起業レベルへ引き上げるなど、若者チャレンジを推進する事業に取り組みます。

次に、6つの政策に沿って申し述べます。
1点目は、市民と行政の協働によるまちづくりについてであります。
まず、地域自主組織との基本協定締結についてであります。
地域自主組織と自治会の関係性や地域と行政の今後のあり方について、地域自主組織の各町代表者で構成される雲南市地域自主組織連絡協議会において検討が進められてきましたが、このほど基本的な方向付けがなされたところです。これを受け、その具体的内容を相互に協議しているところであり、平成27年度中に基本協定を締結し、28年度から適用できるよう進めて参ります。

続いて、新たな加茂町の地域自主組織発足についてであります。
加茂町の14の地域自主組織の再編について、平成24年から協議を重ねられてきましたが、このほど14の組織を一つに再編・統合されることとなり、来る3月8日に設立総会が開催される運びとなりました。検討にあたり献身的に協議を重ねられてきた方々に敬意を表しますとともに、地域住民の皆様が主役となった地域づくりがより一層進むことを願うところであります。

続いて、移住・交流の推進についてであります。
先に述べましたように、新たに設置します「うんなん暮らし推進課」では、定住推進員を2名増員し、5名体制で移住・交流の更なる推進を図って参ります。また、「雲南市ふるさと定住推進協議会」については移住に関する機能強化を図るため組織の見直しを検討していくこととしております。
さらに、地域自主組織には定住協力員の配置を引き続きお願いし、移住者の受入れや空き家バンク登録物件の確保に努めて参ります。
加えて、空き家を希望される移住者に対しより多く提供するため、空き家改修補助事業予算を拡充して対応します。
また、木次町三日市地区で実施していますシェアオフィス調査研究プロジェクト事業につきましては、空き家活用の議論と改修作業を「場づくりの学校」と題し、若者を中心とする多くの皆様に呼び掛け実施して参りました。おかげさまで、都市圏を含め延べ300人の方にご参加いただきました。今後、夏ごろまでに10人程度の入居者を募集し、このシェアオフィスを移住のきっかけづくりの場、若者がチャレンジする場と位置づけ、移住と交流をさらに進めて参ります。

次に2点目、環境に配慮した安全・快適な生活環境づくりについてであります。
まず、田井小水力発電所についてであります。
本年度、将来を見通した田井小水力発電所のあり方について多角的に検討して参りましたが、設備を改修し再生可能エネルギー固定価格買取制度を導入しても採算が見込めないことが判明いたしました。
従いまして、同発電所については、年次的に維持修繕を実施し長寿命化を図って参りたいと考えます。

続いて、道路法等の一部改正等による橋梁等の定期点検についてであります。
道路法等の一部が改正されたことにより、昨年7月から2m以上の橋梁やトンネル等について、5年に1回の近接目視による定期点検が必要となります。島根県内では、各道路管理者が相互に連絡調整等を行い、道路施設等の予防保全や老朽化対策の強化などを図ることを目的に、昨年5月に島根県道路メンテナンス会議が設置されました。雲南市が管理する対象構造物は1,000件を超えていますが、市民の皆様や道路利用者にとり、安全安心な道路となるよう、関係機関と協力し、計画的な点検などのメンテナンスサイクルの確立を図って参ります。

続いて、市民バス再編計画の取り組みについてであります。
「市民バス再編計画」に基づき、春殖・幡屋地区及び阿用・久野地区、飯石・中野地区につきまして、昨年2月からデマンド型乗合タクシーの実証運行を行って参りました。各地域において高齢者を中心に通院などの交通手段として大変好評をいただいており、平成27年度から本格運行へ移行する考えであります。
また、昨年10月から実証運行を始めました佐世、塩田及び高窪・伊萱地区につきましては、平成27年度も実証運行を継続して参ります。
さらに、加茂町及び木次町におけるデマンド型乗合タクシーの運行に向けた検討や準備を進めて参ります。

続いて、防犯灯整備事業の見直しについてであります。
防犯灯整備については、平成18年度に市内統一し、各自治会等で設置される費用の2分の1を助成して参りました。
こうした中、近年、本制度の見直しを求めるご意見をいただいていることから、平成27年度において、地域自主組織連絡協議会等と協議させていただき、制度改正を検討して参りたいと考えます。

続いて、原子力災害時における広域避難先との相互応援協定の締結についてであります。
去る1月13日、14日の両日、私は原子力災害時における雲南市民の広域避難先である広島県の4市1町(竹原市、三原市、三次市、東広島市、世羅町)へ受け入れについてご理解をいただいていることへのお礼も含め、ごあいさつに行って参りました。その際、それぞれの市長・町長にお会いし、受け入れだけではなく、これをご縁に「災害時における相互応援協定」の締結や住民同士の交流などについても提案させていただき、いずれの市・町からも前向きなご返事をいただいたところであります。広島県全体としての課題もありますが、早期に実現できるよう調整を行って参ります。

次に、3点目、地域で支えあうくらしづくりについてであります。
まず、雲南市総合保健福祉計画の策定についてであります。
平成27年度から31年度までの5か年間を計画期間とする雲南市総合保健福祉計画の策定にあたっては、現在パブリックコメントを実施中であり、本年度内に策定することとしております。本計画では、子どもを安心して産み育てる環境のより一層の整備、誰もが健康で生涯を通して安心して暮らせるよう、保健・医療・福祉における包括的な取り組みを、雲南市立病院や関係機関とともに地域自主組織単位で取り組むなど、地域ぐるみで支え合う仕組みづくりをめざして参ります。

続いて、雲南市立病院改築事業についてであります。
今年度進めておりました実施設計につきましては2月に完了し、一部の土木工事を除き建設工事分として去る2月26日に入札公告をしたところであります。今後、4月13日を入札予定日として発注を行い改築に着手し、平成29年9月の新本館の開院を目指して建設に取り組んで参ります。
また、市立病院の組織体制でありますが、松井譲(まついゆずる)病院事業管理者の任期4年が本年3月で終了致します。新棟の建設を迎えるこの大切な時期の舵取りについて引き続き同事業管理者に担っていただき、次年度以降も松井事業管理者と大谷順(おおたにじゅん)院長による体制で運営をお願いするものであります。

続いて、健康づくりの推進についてであります。
市制施行10周年記念式典において「うんなん健康都市宣言」を行い、さまざまな取り組みを行っておりますが、今後は、雲南市健康づくり推進協議会を中心に、健康づくり団体等との連携を強化し、市民の皆様に「うんなん健康都市宣言」の趣旨をご理解いただけるよう努め、健康づくりに対する機運を高めて参ります。

続いて、身体教育医学研究所うんなんの移転についてであります。
平成18年度に三刀屋健康福祉センター内に研究所を開設して以来、健康づくりに関する研究活動、教育活動を推進して参りましたが、施設機能を拡充するため、「加茂健康福祉センターかもてらす」へ移転し、健康づくり活動を更に拡大して参ります。

続いて、特別養護老人ホーム「えがおの里」の増床についてであります。
本年度、整備を進めておりました特別養護老人ホームえがおの里の増床・改修工事は3月中旬に完了する予定であり、これによりえがおの里は70床規模となり、待機者解消に向けた取り組みが前進することとなります。増床した20床については4月の開所が予定されております。
なお、介護保険について制度の改正がありました。主な改正点は、本年4月から特別養護老人ホームの入所基準が原則要介護3以上となることや同じく8月から一定以上の所得のある方の利用者負担が2割となること、また、要支援1・2の方の「介護予防通所介護(デイサービス)」と「介護予防訪問介護(ホームヘルプ)」が「介護予防・日常生活支援総合事業」に移行することであります。雲南広域連合においては、利用者などへの十分な周知を図り、県内市町村と同様に平成29年4月から新しい事業に移行することとしています。

続いて、生活困窮者自立支援事業についてであります。
生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化を図るため、生活困窮者に対し本年4月から生活困窮者自立支援事業を実施いたします。特に相談支援に重点を置き、資金貸付などの業務を実施している雲南市社会福祉協議会に委託いたします。生活困窮の要因分析や自立生活のための改善策などプランの作成を行い、関係者とのネットワークを構築して具体的な支援につなげ、生活困窮状態からの脱却を促します。

続いて、子ども・子育て支援についてであります。
幼児期の保育や地域における子ども・子育て支援を総合的に推進していくため、平成27年度から向こう5年間の「雲南市子ども・子育て支援事業計画」を策定いたしました。本計画では、「安心して子育てのできる支えあいのあるまち うんなん」を基本理念に、その具体化のため4つの基本目標を掲げています。一つに「地域で安心して子育てできる環境づくり」、二つに「子育てと仕事を両立できる社会づくり」、三つに「子どもの生きる力を育てるまちづくり」、最後に「親子の健やかで安心な暮らしづくり」としております。その中の一つとして、保育所と幼稚園の機能を併せ持つ「認定こども園」の整備を進め、質の高い教育・保育の提供に努めて参ります。平成27年度においては、「海潮幼稚園」「斐伊幼稚園」「三刀屋幼稚園」及び「加茂幼児園」について、平成28年度から「認定こども園」へ移行できるよう取り組む考えであります。

次に、4点目、ふるさとを愛し豊かな心を育む教育と文化のまちづくりについてであります。
まず、教育委員会制度の改正についてであります。
本年4月から教育委員会制度が改正され、市長が本市の教育の基本的な方針を定める教育大綱を定め、その大綱に基づき、市長と教育委員による教育総合会議で雲南市の教育政策について協議して参ります。

続いて、第3次雲南市教育基本計画の策定についてであります。
平成27年度から31年度までの5年間を計画期間とする第3次雲南市教育基本計画を昨年6月から21名の策定委員の皆様による協議を経て、昨年12月に計画案を提出していただきました。その後、パブリックコメントによる意見募集を行い、教育委員会において、決定いただいたところであり、それを教育大綱に位置付ける予定であります。
本計画では、「学力の向上をはかり、自立した社会性のある大人への成長を目指すキャリア教育」を市内の高校までつなげる一貫した教育活動として展開を図ること、社会教育と学校教育の協働により、地域全体で子どもたちを育むことなどを盛り込んでおります。教育関係者のご理解と実践、市民の皆様の積極的な参画を得て、雲南市の教育を推進して参ります。

続いて、その学力向上の取り組みについてであります。
本市の平成26年度学力学習状況調査の結果は、平均正答率において中学校では概ね全国平均を上回り、小学校においては平成25年度より改善傾向が見られるものの依然全国平均に及ばない状況であります。この結果を真摯に受け止め、学力向上により一層取り組むこととし、まず、授業の充実を図るために、教職員の研修をしっかりと行い、全ての児童生徒にわかりやすい授業づくりを推進して参ります。
また、島根県は、中学生の家庭学習の時間が全国で一番少ないという調査結果が出ており、本市も島根県と変わらない状況であります。これを受け、土曜日の時間を活用し、学校外での学習の充実を図ります。学校はもとより、家庭・地域と一体となってこの課題に取り組んで参ります。
そのためにも本市のキャリア教育の柱となる「夢」発見プログラムの推進とその一層の充実を図り、しっかりと子どもたちを育てて参ります。
また、不登校児童・生徒への学習や体験活動の機会を保障するとともに、子どもたちを支援するシステムを構築することにより、相談、支援機能の強化を図り、島根大学や地元をはじめとする若者の活動団体、子どもたちを支援していただく各種団体とも連携を深め、自立を支援する取り組みを進めて参ります。

続いて、県立出雲養護学校雲南分教室の開設についてであります。
長らく待ち望まれておりました県立出雲養護学校雲南分教室が、いよいよこの4月に開設する運びとなりました。雲南圏域における特別支援学校の設置に向けては、これまで保護者の方々や関係諸機関の絶大なるご尽力がありました。このたびの開設を迎えるにあたりまして、関係の皆様方に改めて厚くお礼申し上げます。雲南分教室が開設されることにより、通学される生徒の利便性が向上することとなります。雲南分教室では、地域人材を活用した作業学習なども行われ、生徒の就労に向けた取り組みも進められます。雲南分教室が雲南地域の特別支援教育の中核となり、圏域の特別支援教育がますます充実するものと期待されます。

続いて、学校適正規模適正配置についてであります。
これまで協議を行って参りました飯石小学校と飯石幼稚園につきまして、地元の皆様との協議が整い、平成28年3月末をもって閉校、閉園することを決定いたしました。この決定を受け、平成27年度には複式学級の調整に入ることとしております。

続いて、青少年海外派遣等交流事業についてであります。
平成27年度は韓国清道郡(ちょんどぐん)との相互交流の年であります。7月下旬から8月中旬にかけて雲南市からの中高生の派遣と韓国からの学生受け入れを相互に行い、ホームステイなどを通じた国際交流に取り組んで参ります。

続いて、第2次雲南市男女共同参画計画「気づいて築くうんなんプラン」についてであります。
平成27年度から36年度までの10年間を計画期間とする第2次雲南市男女共同参画計画の策定にあたり、現状把握や雲南市男女共同参画推進委員会からの答申を踏まえて、このほど計画案をまとめました。現在、パブリックコメントを終えており、本年度内には策定を完了し、市民、事業所の皆様とともに、本計画の実現に取り組んで参ります。

続いて、第8回全日本マスターズレガッタの開催についてであります。
平成28年度に開催される全国高等学校総合体育大会ボート競技のリハーサル大会として、5月16、17日の両日に島根県さくらおろち湖ボート競技施設を会場として「第8回全日本マスターズレガッタ」が日本ボート協会の主催で開催されます。全国各地から約千人の参加を予想しており、本大会の成功に向け、市民の皆様の観覧、声援を強く期待するものであります。

次に、5点目、賑わいあふれる雲南市についてであります。
まず、中心市街地活性化事業についてであります。
「雲南市都市計画マスタープラン」に定めた将来都市像の実現に向け、中心市街地活性化基本計画の策定に向けて取り組みを進めております。雲南市商工会では、昨年5月から事業可能性調査やワークショップを重ねられ「まちづくり事業計画」を取りまとめられたところであります。また、本年には「中心市街地活性化協議会」が立ち上がり、市が作成する基本計画に対して、中心市街地活性化の総合的かつ一体的な推進となるようご意見をいただくこととしております。
さらに、中心市街地における先導的な事業実施を担う「まちづくり会社」を来年度設立することとしており、引き続き、雲南市商工会や関係機関と連携を図り、新たな中心市街地の形成に向けた取り組みを進めて参ります。

続いて、南加茂及び神原企業団地の整備についてであります。
まず、雲南市土地開発公社に委託しております南加茂企業団地内の市道大羽根尾(おおばねお)線道路改良事業につきましては、平成27年度に用地取得等が行われる予定であり、市道改良の進捗に合わせ、土地開発公社で同企業団地拡張事業の実施設計にも取り組まれる計画であります。
また、神原企業団地造成事業につきましては、平成27年度に実施設計を行います。さらに、国道54号から神原企業団地への幹線道路となる(仮称)市道宇治西線の改良につきましては用地取得を進め、(仮称)加茂スマ-トインタ-チェンジについても同企業団地と一体となった供用が開始できるよう、本年度に引き続き検討を進めることとしております。

続いて、第2次雲南市産業振興ビジョンの策定についてであります。
飯野公央(いいのきみお)島根大学法文学部准教授をはじめ、15名の策定委員の皆様に検討を進めていただきました第2次産業振興ビジョンの骨子案がこのほどまとまりました。基本理念は、第2次雲南市総合計画の「人口の社会増をめざした確実な雇用創出」を踏まえ、「挑戦し、活力を産みだす雲南市~たしかな雇用創出をめざして~」とされたところであります。重点施策の柱としては、1つに「ものづくり産業の集積による雇用創出」、2つに「商業基盤の中核づくりと地域商業空間の確保」、3つに「安全安心な農畜産物の生産と稼げる農業の推進」、最後に「観光による交流人口の拡大をめざした、地域の魅力向上と稼げる観光の推進」が掲げられております。今後、現在実施しておりますパブリックコメントを経て、本年度内に第2次雲南市産業振興ビジョンの策定を完了する予定であります。
なお、本ビジョンの推進体制にあたっては、冒頭、地方創生の取り組みの一環として申し上げましたとおり、雲南市産業振興センターの機能強化を図り、確実な雇用創出を図る考えであります。

続いて、企業誘致についてであります。
昨年末から県庁企業立地課と連携して誘致促進を行って参りました「株式会社デルタ・シー・アンド・エス」の雲南市進出が決定いたしました。この会社は自動車シートの製造メーカーで、国内工場のほか、東南アジア諸国、メキシコなど海外へも展開されている広島県の「デルタ工業株式会社」のグループ会社で、平成23年に浜田市へ進出された企業であり、事業拡張のため、このたび大東町への進出を決定いただきました。これまでの積極的な企業誘致により、雲南市誕生以降、9番目となる企業誘致が実現したところであります。創業開始は本年4月で、当初は40名の雇用を確保され、将来的には100名程度までの拡大を想定されていると伺っております。ハローワーク雲南や雲南市産業振興センター、雲南市無料職業紹介所や大東町の地域自主組織等と連携し、人員確保に努めて参ります。

続いて、食の幸発信推進事業についてであります。
地域資源を活かした産業の創出により雇用を生みだし、人口の社会増をめざす取り組みの一つとして、今年度、基本計画の策定を進めて参りました「食の幸発信推進事業」について、本市の魅力の一つである「食の幸」を具体的に体感できる拠点施設を道の駅「さくらの里きすき」の北側に整備することといたしました。飲食や特産品販売だけでなく、農産加工施設も併設し、市内の食材を生かした商品開発とともに、食品製造過程の見学や試食も楽しんでいただく考えであります。さらに、商品開発・研究のための厨房設備も用意して6次産業化や農商工連携の底上げも図る考えであり、道の駅とも密接な連携を図ることとしております。平成27年度から取り組みをスタートさせ、平成30年度に完成・オープンを目指す考えであります。
これまで取り組んできたブランド化プロジェクトや農商工連携を、より進展させるとともに、中心市街地活性化事業への商品供給、若者や地域自主組織のチャレンジの場として、この食の幸発信推進拠点を位置付ける考えであります。

続いて、農業の振興についてであります。
政府は、米価変動にも対応できるよう稲作農業の体質強化を図るため、27年産米の生産コスト低減の取り組みを支援する「稲作農業の体質強化緊急対策事業」を本年度補正予算で展開されることとなりました。本事業は、今年度中に助成金を交付する事業であることから、認定農業者をはじめとして、市内農業者への周知を緊急に行った結果、7件で、助成金額112万5千円の申請を受け付けております。申請者への助成金の支払いは3月末を予定しております。
また、27年産米の生産調整については、国から生産数量の配分がなされ、本市においては昨年よりさらに49haの転作が必要となったため、新たな転作面積の多くを担い手農家の皆様の協力による飼料用米を中心とした新規需要米の取り組みで目標達成を図ったところであります。この生産調整については、平成30年を目途に廃止される予定であります。これからの3年間は生産調整廃止に向けた本市の稲作農業の向かうべき方向を真剣に議論していくべき時期ととらえ、中でも他産地に負けない競争力のある美味しい米づくりへの取り組みがさらに重要であると考えております。
そこで、まずは土壌診断、土壌改良の支援を継続拡大するとともに、土壌改良剤の導入を支援する新たな事業を推進して参ります。さらに、食味検査が手軽に行えるシステムなどを導入したいと考えております。
また、雲南市農業労働災害共済事業については、近年農業生産法人の設立が進んだことに伴い、法人加入の要望が多いこと、また森林バイオマスエネルギー事業の推進により市民の皆様の山林での作業機会が増加したことから、この度、法人加入や山林作業における事故も給付対象とするよう制度の改正を行う考えであります。

続いて、畜産の振興についてであります。
雲南地域の畜産農家の労力軽減を図るとともに、繁殖雌牛の早期受胎を促すことを目的とした肉用子牛の飼育を行う「キャトルステーション」が飯南町に整備され、平成27年度より運営が開始される見通しであります。雲南1市2町及びJAで構成する雲南農業振興協議会では、本ステーションの利用に対して支援を行う考えであります。
また、平成29年に宮城県で開催予定の全国和牛能力共進会へ向けて、市内の畜産農家の協力の下、市内で生産された県有種雄牛(けんゆうしゅゆうぎゅう)の交配に取り組み、本共進会の候補牛の生産に努めております。5年に一度開催される本共進会の成績が、島根県産の肉用牛の評価や販売価格に大きく影響することから、上位入賞をめざして取り組みを強化して参ります。

続いて、次期中山間地域総合整備事業に向けた調査についてであります。
現在取り組んでおります雲南北地区中山間地域総合整備事業が平成29年度で完了することから、引き続き30年度からの次期整備事業に取り組むための要望箇所調査及び実施箇所選定並びに基本計画策定調査を、平成27年度から実施して参ります。

続いて、ため池安全確保事業についてであります。
県内のため池は、その多くが江戸時代以前に築造され、堤防及び取水施設などに経年的な変状が発生しているものが多数見受けられます。
また、農業者の高齢化や減少などにより適切に維持管理されないため池が増加しております。雲南市も例外ではなく、箇所数は397箇所を数え、アンケート結果による改修希望箇所は102箇所に上ります。県営のため池整備には平成24年度から取り組んでおりますが、平成27年度から団体営事業による県単ため池安全確保事業に取り組み、これまで対象から外れていたため池の安全確保を促進いたします。

続いて、森林バイオマスエネルギー事業についてであります。
林地残材の市民参加型収集運搬システムでは、本年度の目標量の1,000トンを超える収集をしていただきました。引き続き、安定した収集への支援を行って参りたいと考えます。
また、エネルギーの地産地消の実現をめざし整備を行って参りました3基目となる木次健康温泉センターのチップボイラーも稼働し、平成27年度には雲南市役所本庁舎にもチップボイラーを導入する予定であることから、エネルギー供給量の拡大に対応するため、バイオマス材などの木材流通拠点として南加茂地内のストックヤードの整備を引き続き行い、安定した供給体制の強化を図って参ります。

続いて、観光の振興についてであります。
平成25年度は、出雲大社の遷宮などもあり、過去最高となる144万人の観光客が本市にお越しいただきました。本年度は微減傾向ではありますが、島根、雲南への関心は依然高いものがあります。
また、念願であった中国横断自動車道尾道松江線の全線開通が来る3月22日となり、いよいよ陰陽が高速交通ネットワークで繋がります。山陽はもとより、四国や関西、九州からの入込みの増加が期待され、交流人口の拡大とともに、本市の地域活性化への大きな弾みとなるものと考えております。
このような状況の中、市としましては、今後とも引き続き観光地の整備や魅力向上を図って行く必要があると考えており、平成27年度においては、国民宿舎「清嵐荘」の改築整備にかかる基本設計と施設管理運営計画の策定を行うこととしました。平成30年度中の改築開業に向けて整備に取り組み、観光宿泊客を増やすことにより、市内観光地への周遊性の向上、市内消費の拡大に繋げて参ります。
さらに、観光施策の強化を図るためには、観光協会の体制強化が極めて重要であることから、任意組織の観光協会を、本年4月に一般社団法人にいたします。機動性を高め、市民の皆様と行政が一体的に、観光事業を推進することにより地域経済の活性化を図って参ります。

続いて、映画「たたら侍」への支援についてであります。
平成28年春に公開予定の映画「たたら侍」は、全国のたたら製鉄の中心地であった出雲の國を舞台に、日本人の心を描いた、かつてない本格時代劇であると伺っております。また、エグザイルのHIRO(ひろ)氏がエグゼクティブプロディーサーとして、初めて映画製作に携わることから話題を集めております。本年1月下旬から、雲南地域でも冬景色の撮影が行われ、撮影開始を記念して、主演を務める劇団エグザイルの青柳翔(あおやぎしょう)氏と錦織良成(にしこおりよしなり)監督のトークショーが映画館で行われました。いよいよ映画制作が本格始動したところであります。先月27日に、本市山中にロケセットの設置予定と発表されました。今後も引き続きこの映画制作を支援し、文化・観光振興や定住推進につながるよう雲南市の魅力を発信して参ります。
また、島根県においては、平成27年度からの2年間、錦織監督のプロデュースにより、青柳翔氏、エグザイルのAKIRA(あきら)氏と小林直己(こばやしなおき)氏、3人のイメージキャラクターを中心とした新たな観光プロモーションが実施されます。ポスター制作やイベントの開催などにより、島根県全体の魅力を、この映画ともタイアップしながら強力に発信されますので、こうした機会も有効に活用して参ります。

続いて、雲南市さくら祭りについてであります。
例年、多くの方に訪れていただく「雲南市さくら祭り」について、開花期間は天候に左右されますが、開催期間を3月21日から4月21日に設定し、メインイベントを4月4日、5日の両日に開催する予定としております。
本年も、各種イベントや雲南食堂等を開催し、例年にも増して多くの方々に訪れていただくことを期待するところであります。

続いて、商工業の振興についてであります。
わが国の経済は、景気は回復基調と言われておりますが、中小企業者にとりましては、景気回復の実感は乏しいのが現状です。
このような中、昨年5月に雲南市中小企業振興基本条例に基づく、地域経済振興会議を立ち上げました。これまで会議を5回開催し、後継者対策の必要性や地域内経済循環の仕組みづくりの重要性など、今後の地域商工業の発展に向けて、貴重な提言をいただいております。特に、議論の中では、商業者への施策の充実・強化に向けて課題が抽出されています。後継者対策、地域内経済循環、買い物支援など課題解決のための新たな中小企業支援策立案に向けた方向性の提言を、本年11月頃にまとめていただく予定であります。

続いて、「島根ふるさとフェア2015」についてであります。
去る、1月17日、18日の両日、18回目の「島根ふるさとフェア2015」が広島市の県立総合体育館周辺で開催され、2日間で約17万1千人の来場がありました。雲南市からも11事業者にご参加いただき、うんなんの食の幸をPRいただくとともに、今年は神楽社中にもご出演いただき雲南の伝統文化にも触れていただきました。
また、雲南地域1市2町の女性で構成する「おくいずも女子旅つくる委員会」のメンバーにもご参加いただき、観光PR活動を行っていただきました。このフェアの成果を生かし、本市と広島の交流の輪がますます広がるよう努めて参ります。

次に、6点目、行財政運営についてであります。
まず、市役所新庁舎への移転についてであります。
新庁舎建設工事につきましては、昨年4月の着工以来、順調に工事を進めております。昨年末には鉄骨建方(たてかた)が完了し、現在、内外装工事を行っているところであり、予定通り本年8月には竣工できる見込みであります。新庁舎への移転は、10月13日を開庁予定日として、準備を進めております。

続いて、市職員の給与減額措置についてであります。
職員の給与につきましては、平成17年度以降、職員の協力を得て減額措置を行っているところであり、平成27年度も継続することとしました。この減額措置で生じる財源は、引き続き地域経済の活性化につながる事業に充てることとしております。

次に、議案についてであります。
まず、平成27年度一般会計当初予算、平成26年度3月補正予算についてであります。平成27年度一般会計当初予算は、前年度比△2.6パーセント減の297億9千7百万円の規模で、平成25年度決算認定の際に市議会からご提言いただいた内容も踏まえて編成いたしました。
また、補正予算につきましては、冒頭で申し上げた国の補正予算等に係るもの以外に、通常分として、一般会計では、退職手当特別負担金9千3百万円、除雪総務管理事業5千7百万円などの追加等の予算を計上し、特別会計等では、国民健康保険事業特別会計、後期高齢者医療事業特別会計、簡易水道事業特別会計、生活排水処理事業特別会計、土地区画整理事業特別会計、清嵐荘事業特別会計、水道事業会計、工業用水道事業会計、及び病院事業会計で、それぞれ事業内容の変更等に伴う補正予算を計上しています。

その外、条例31件、規約改正1件、一般事件7件、同意事項7件、報告事項3件を提出しておりますので、慎重にご審議いただき、可決賜りますようよろしくお願い申し上げます。

平成27年度の市政運営に臨む所信の一端を申し述べ、開会にあたってのご挨拶といたします。

平成27年3月2日

雲南市長 速水雄一